三重県の遺跡

学生時代から遺跡と学会を駆け回り、学部の関係上企業に就職しても

この病気は癒えず、未だに遺跡と遺物を愛する私です。

考古学で専門とする時代は、弥生時代と古墳時代です。


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三重の遺跡2

三重の遺跡3

松阪市田原町那知山出土弥生式土器

 この土器は、弥生時代T様式新段階のミニチュアの壷型土器である。                

口縁部を欠いているが、上方に広がるものと思われ、底径3.6cm、胴径8.8cm、高さ9cm以上である。胴部の張った厚みのある土器で、頸部に断面三角形の貼付突帯1本をめぐらし、その直下に2条のヘラ描沈線がある。胴部には、ヘラ状工具の圧痕をもつ低い断面台形の貼付突帯1本と、その下に3条のヘラ描沈線をめぐらせている。外面は、全体ていねいににヘラ研きされており、底部と内面は、ナデ仕上げをされている。 底部は、上底になっている。                                        

丹彩は、外面・底部の全体と内面の頸部中ほどまで施されている。胎土は、小砂粒が多く、淡黄褐色を呈しており、全体に風化が著しいため細かい調整などは、はっきりしない。(三重考古2所収 拙著)


      

松阪市宝塚1号墳出土船形埴輪と、1号墳遠景

 この埴輪は、国史跡宝塚1号墳のくびれ部北側にある方形土壇と、古墳を接続する土橋の西側から古墳築造当初の位置に現状のまま出土しました。長さ140cm、高さ90cmで、サイズは現在国内最大の船形埴輪です。サイズより船に飾りつけられた、太刀、威杖、蓋が、出土したのは全国初の出土例となりました。       

 また、当古墳は、埴輪の出土の多彩なことの他、前方後円墳の造り出し成立の過程を立証する重要な資料となりました。


八重田11号墳

 全長約50m、後円部径30mの前方後円墳と思われる。調査したところブルドーザーで荒らされた跡から白い粘土が、露出していたので内部主体は粘土槨と思われる。

 この古墳群は、25基の古墳があり、その内現存しているものは9基、調査されたものは9基、その他は工事業者により無断で破壊された。 現存している古墳は、2号・3号・9号・10号・21号・22号・23号・24号の円墳8基と、11号の前方後円墳1基です。尚、消滅した古墳のなかで、4号については団地の緑地として存在し8号にあった祠が祀られており、そこから現在も埴輪の細片が採集できます。13〜15号は、現在給水塔のある地点に存在しましたが、未調査で破壊されました。地中に埋まっている可能性も数パーセント残っております。