大自然の素晴らしさを堪能させてくれた ネイチャースキー・歩くスキー 1

ネイチャースキー・歩くスキー 1
 
 北海道での1年間長期滞在を決めたとき 春、夏、秋はもちろん 冬も十分楽しみたい。いや寧ろ寒い北海道だからこそ冬がいいと思っていたから、冬を満喫したいと願っていた。そのためにはスキーをはいて森や原野、湖の上を歩きたい。冬が近づくとその思いは一層強くなった。
 しかし スキーの経験といえば 40年もむかし 夫と雪上車に乗って立山弥陀ケ原に行きスキーを楽しんだ後 ケーブルの駅までの10kmはあっただろうかの山道を滑り降りたことと 赤倉スキー場や白馬のスキー場で幼かった吾が子二人を連れて楽しんだくらいしかない。
 果たしてうまくいくだろうか。不安いっぱいであった。
 ところが日がたつにつれて、そのおもしろさ、楽しさにはまってしまったのである。
 これは 北海道で その後 磐梯で 信州で ネイチャースキーを楽しんでいる記録です。
 


札幌中島公園
 2000年1月13日 生まれてはじめて歩くスキーなるものをはいた。中島公園のレンタルである。その板の幅の細いこと。なんとも頼りなげで恐ろしい。歩くことより立っているのが精いっぱい、肩をいからせ立っている姿を今見ると吹き出してしまう。そのうえここは札幌の街の真ん中、たくさんの人が歩いて凹凸があり、一周するのに何度も尻餅をついた。それでも便利なところなので3度ほど行った。大都市の中心地に歩くスキーのコースがあるなんてさすが北海道であった。
 
第27回HTBカップ国際スキージャンプ競技大会
兼FISコンチネンタルジャンプ大会2000
 大倉山ジャンプ競技場ラージヒル 1月15日
 これまた生まれてはじめて生でジャンプ競技を見た。臨場感満点であった。優勝は船木選手、2位は原田選手であった。表彰式が終わり、選手が帰りはじめた。私は思わず「船木さ〜ん!こっちむいて!!」と叫んだ。すると彼はなんとこちらをむいて手を振ってくれた。感激。船木さんあれ以来このおばさんはあなたの大大ファンなのであります。
 
スキー用具一式を購入
 1月18日 札幌ニッセンスポーツで 夫はクロスカントリーの 私は歩くスキーの用具一式を購入した。いよいよ本格的に始めようと決心する。
 
定山渓三笠スキー場(札幌)
 当時 定山渓のコンドミニアムに滞在していた私たちは、近くの三笠スキー場に毎日のように通った。このスキー場の指導員で高校時代スキーの選手だったという古館さんという方と知り合ったことは本当に幸せなことであった。このスキー場には歩くスキーのコースはなかったのだが、近くに特設のコースを作ってもらい(私たちはここを白樺コースと呼んだ) 何度も親切に基本を教えていただいた。日誌を繰ってみるとここで25日間練習したことになる。
 
2000年HBCラジオ歩くスキー大会
 白旗山距離競技場 1月30日
 夫が5km競技に出場した。見ているだけでも恐ろしいコースで、多くの参加者がころんだりスキーをかついで歩いていた。夫は歩くスキーは初心者なのによく出たものだと呆れた。この大会を見て北海道の歩くスキーを愛好する人の多いのに驚いた。
 
国営滝野すずらん丘陵公園(札幌)
 この丘陵全体に広がるつどいの森コースなどすべてのコースがよく整備されていてすばらしい。なかでもアシリベツの滝への5kmコースはきれいにカットされていてたいへん滑りやすい。ここを走るとなんだか自分が上手になったような錯覚に陥る。少し距離はあったが5回ほど通った。2月29日には、吉永小百合がCMの撮影に来ていたのに出会った。
 
滝野すずらん公園歩くスキー入門教室
 2月6日参加 クラス分けをするのにこの坂を下れといきなり言われびっくり仰天!でも楽しい講習会であった。
 
真駒内公園「歩くスキー教室」
 北海道体育文化協会主催の教室に 2月8.9.10の3日間参加した。平地を走る練習にはなんとかついていけたが、山を下るとなるとびびってしまった。多くの参加者は、ゲレンデスキーには慣れているという人たちだったからだ。夫はクラスが違い、スケーティングを中心に練習していた。
ニセコひらふスキー場
 このスキー場の下に5ケ月間滞在していたので冬にも何度か訪れた。夫はニセコひらふのゲレンデをクロスカントリースキーで滑り、係の人に「大丈夫ですか」と声を掛けられた。夫は時々無茶をするので驚く。
 
北広島プリンスホテル クロスカントリー・歩くスキーコース
 このホテルの広大なコースは美しい。滑走を申し込んだらゼッケンを渡された。静かな林の中をマイペースで散策する。雪の上に落ちているツルアジサイの花を拾ってリースを作った。時々スキーを楽しんでいる人に出会う。レストランの窓から歩いてきたコースを眺める。ゆったりと心の落ち着く一日であった。冬季以外はゴルフ場のため広くコースは整えられていて快適であった。
 
知床自然センター フレペの滝ネイチャーウォッチング    2月19日
 知床自然センターの講座には夏や秋にたくさん参加させていただいた。冬はこの講座とオジロワシ・オオワシの観察会の2回。フレペの滝までのコースは後から考えてみるとかなりの急坂で、私は何度も転んだ。でも一人のセンターの方が付きっ切りで見ていてくださった。後で「あなたが一番楽しんだ」とみんなに笑われた。でもほんとうにいい一日だった。フレペの滝までのコース途中にセンターの人に知床の自然、動物、植物について説明してもらった。まさにネイチャースキーであった。
 
川湯エコミュージアム 歩くスキー自然探勝コース
 北海道の木アカエゾマツの林が美しい。北海道でいろいろなコースや野山を探索したがこんなに魅力的なアカエゾマツの林はここだけだった。ときどきエゾシカの鳴き声が聞こえ小鳥もたくさんいた。ここにはクマゲラもいるそうである。
 3月10日から住まいを弟子屈町の屈斜路湖畔のコテージに移したので、川湯は近く何度か訪れた。
 
桜ケ丘歩くスキーコース(弟子屈町)
 歩くスキーの素晴らしいコースがある。900草原の見えるあたりが殊に美しい。近くだったので何度か通ううち、弟子屈の何人かの方々とお近づきになることができた。画像はここで出会いその後なにかとお世話になった福田博・愛子さんご夫妻である。福田さんご夫妻はこのコースをホ−ムグランドとしながらご夫婦で各地の大会へ参加して楽しんでみえるとのこと。さすがに状況に応じてゆったりと滑られる姿に「あんなに上手になれたらいいが・・」と感心。
 春も近い3月下旬から4月になると雪の下から飢えた鹿の死骸があらわれいたましかった。
 
旭川国際バーサースキー大会  3月20日
 第20回の記念大会であったので参加者は8000人を超えたそうである。福田さんご夫妻をはじめ弟子屈町の人もたくさん参加された。私たちも申し込んだ後でこのことを知り「もう少し早く知り合えば一緒に行けたのに」と言っていただいた。でもこの人数では会場で探すことは到底できない。
 夫は8kmに 私は5kmに挑戦した。私にとってははじめての大会である。5kmの列に並ぶ。長い列だ。競馬場を一周してからコースに出るのだが、一周が1km近くある。私が競馬場を出るあたりまで来ると、なんと一番前でスタートした人はもう競馬場に戻ってきていた。坂はたいへん急で、登りに苦労していると「かついで登ってもいいですよ」と言われてしまった。幼稚園の子どもたちもたくさん参加していて楽しかった。
 
野付半島 トドワラ
 夏は馬車の走っていた道に今は人影もない。見渡す限りの雪の原である。そこを好きなように歩く。雪はさらさらですばらしく美しい。真っ白な斜里岳を背景に白鳥やオジロワシが飛び交い、大自然のあるべき姿をここに見た思いだった。
 
サロマ湖砂州 ワッカ原生花園 竜宮街道
 左にサロマ湖、右にオホーツク海を見ながら竜宮街道を滑り浜辺へ降りたらそこは流氷の世界。流氷の上を渡って遊び触れ実感。夕刻、急激に温度が下がり始め、太陽が真っ赤に輝きながら凍てついたサロマ湖に沈んでいった。「こんな砂州にオホーツク人が住んでいたとは・・・」と先住民族に想いを馳せた。
 
屈斜路湖周辺
 屈斜路湖周辺は湖上、湖畔、ポンポン山、神話で藻琴山が投げた槍がそれたといわれるオプタテシケ(アイヌ語で槍がそれた山)の麓の牧草地、和琴のキャンプ場のまわりなどスキーをする場所には事欠かない。3月10日から4月13日まで15回ほどスキーを楽しんだ。画像はたいへん親しくしていただいたアイヌの友人と遊んだトサモシベ(アイヌ語・湖の傍らにあるもの)で。友人はこのハルニレの大木に水筒の水をかけながら「長生きしてね」と。友人の自然との付き合い方に涙が流れた。
屈斜路湖上歩くスキーハイキング
 もう一度北海道へ行きたい。できれば移住したいとまで憧れ続けた北海道へ再度渡ったのは三重に戻ってから1年9ケ月後であった。
 2002年2月・3月を道東で過ごした。
 2月24日 川湯エコミュージアム主催の御神渡り観察会に参加した。屈斜路湖畔砂湯のところから中島まで氷の上を渡って行った。湖の真ん中から藻琴山、斜里岳を見るなど凍った屈斜路湖でなければできない貴重な体験をした。よく晴れて 気分は爽快であった。
 
オプタテシケ山麓の牧草地
 誰も通っていないふわふわの雪。眼下には凍った屈斜路湖が見渡せる。ここで5日間 ボーゲンの猛練習をした。考えてみればスピードを制御することも曲がることも止まることも覚束ない私が、あちこちのスキーコースを滑り、観察会や大会に出るなんてなんと無謀ではた迷惑なことだったのだろうと赤面することしきり。しかし夫は「何事も挑戦してみなくてははじまらない」といつも言う。がここでの5日間の練習で自分でいうのもおかしいが、かなり上達した。どんなコースもあまり恐怖感は感じなくなった。その意味で大げさだがここは「私のホームグランド」と言える。
 
屈斜路湖上
 借りていたコテージの裏はすぐ屈斜路湖。きょうも気軽にひと滑り。吹雪の日もあった。強風の日も穏やかな日もあった。後ろに見えるのは晴れた日のトエトクシベ(湖の奥にあるもの 藻琴山)。
 
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