10.銭湯をつぶす気か!
 

 昔は風呂屋を銭湯とよんだ。銭とは円の百分の一のお金の呼称のことである。近頃の子供たちは、聞いたことも見たこともないお金である。その一銭玉を二つか三つ持ってみんな風呂へ行ったものである。今ではどこでも家庭風呂があって、風呂屋へ行く人が少なくなった。

 こうした状況の激変で、かつて30軒ほどあった市内の浴場も、櫛の歯が欠けるように減ってゆき、今や僅か9軒しかないという。

 需要が減れば、供給も減らざるをえないのは当然である。

 しかし、風呂屋を必要とする人も減ってはいるが、無くなってしまったわけではない。

 県下一高い水道料の松阪だが、そのうえ下水道料までいるようになった。風呂に使う上下水道代もかなり家計にひびく。一人、二人の家庭では風呂屋へ行ったほうが安くつくのだろう。近所の人とのコミュニケーションもはかれる。裸の付き合いは楽しいものだ。

 大型とはいえぬが、中型ぐらいの風呂なら市内にもある。白山町まで行けば温泉もちょいちょいある。それすら市内の風呂屋には影響している。

 そのような時、市がわざわざ税金を使って、露天風呂まで完備した大型の浴場を作る必要があるだろうか。

 あの戦時中、風呂をたく燃料の木材不足に風呂屋さんたちは大変な苦労をしたという。それが原因で廃業した業者もあったくらいだ。勿論、当時家庭風呂などすくなかったから、風呂屋の苦労のお陰で、ほとんどの市民は一日の垢を落としていたのだ。

 その風呂屋さんが、いま斜陽のサービス業に転落しつつある。

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