1.イメージ浮かばぬ「農と匠の里」
 

伊勢自動車道から松阪インターを出て市内に向かって下ってくると、二つ目の交差点に信号がある。この角から左側小阿阪地区23へクタール一帯が「農と匠の里」事業の予定地である。

 農・匠事業に関する記事が、はじめて「夕刊三重」紙に載ったのは、いつだったか記憶は薄い。しかし、関連するニユースが以後断続的に流れていたのは覚えている。

 私を含め多くの市民は、この事業計画の中身をほとんど知らない。たしかに色刷りのレイアウトの上に施設の名称と、簡単な説明を記したリーフレットも発行されていた。それらをじっくり眺めても一向に具体的なイメージが沸いてこない。

 リーフレットには建設費もその内訳も、財源も示されていない。運営収支の見積りも客数の想定も、またその積算の根拠も、全く記されていない。まるで素材も値段の表示もないカタログを見せられたようなもので、選択に迷うのも当然ではないだろうか。                            
 市議会では十分審議し、決議したのであろうが、その詳細も市民は知らない。              
 獣医の三野営次郎氏を会長とする数名の市民有志が昨年5月、「農と匠の里計画」を再検討する市民の集いを作り、週1回の勉強会を続けているという。私は微塵の邪気もないこの人たちの真摯な姿勢に胸を打たれた。
 やがてその会が、3月市議会前にシンポジウムを行うという計画をもっていることも知った。                                               
 お陰で私は、前からこの事業に関心を持ちながら、資料不足のため棚上げしてあった宿題(先輩のT氏より課せられていた)に、取り組む機会をうることになったのである。

準備にかかってまず驚いたのは、一般市民の手に入る農・匠資料が余りにも少ないことだった。ところが市議を通じてやっと手に入ったのは、「松阪『農と匠の里』整備事業推進計画業務報告書」という、A4版260頁の分厚い文書だった。

 その後、この報告書も、またこれのミニ判といわれるパンフレットも残部僅少なのか、間もなく入手不能になったと聞いた。

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