熱砂の影




窓の外は、熱昼の砂漠。
天の真上にある太陽は、地面に影を灼きつけ、
明かりがいるかとおもうほどに、室内を異様に暗く見せていた。

その中。
窓を背後にした執務室の椅子の上に、ゆるやかに蠢き合う一つ・・・いや二つの影。
尊大な態度で座る男と、その男と向かい合わせになるようにその膝に跨る少年。


男は、しっかりとその服を身に纏ったままだったが、少年の方は、深紅の軍服が肩に残るだけで、
殆どがはだけていた。
詰襟の隙間に覗く首筋に汗が伝い、栗色の髪が貼り付く。


「どうした、キラ。降参か?」


男・・・バルトフェルドは薄笑みを浮かべると骨ばった大きな手で、意地悪くキラの背をなぞった。
キラは、腕をその広い背中に絡ませると肩に顔を埋める。

「っ・…どうせ…させて…くれ・…ないでしょう」


息をする・・・だけにしては、あきらかに甘い熱を孕んだもの。
室内は空調が利いていて、涼しいはずだった、が。
自らが発する熱で、キラの肢体は仄かに紅潮し、大人と子供の境にある者のみが持ち得る
独特の色香を醸し出していた。


「そうだよなぁ、上官より先にダウンってのは、面白くないな」

バルトフェルドはそういって片目を細めると、キラの体内にあるものをさらに奥へと刻み付ける。


「っ・・・」


キラは息を詰めると、バルトフェルドの肩にしがみ付き、体を駆け巡る快楽の波をやり過ごそうと
手が白くなる程に力を込めた。


体の中の感覚という感覚が全て・・・バルトフェルドの思うがままになっていく。

もう、頭の中が麻痺してしまうほど時間

向かい合うようにして下肢を跨ぎ、脚に力が入らない状態で男の楔を受け入れていいた。
体内にある楔の質量が内壁を満たし、さらに意志無く動かないそれは、むず痒さに似感覚でジワジワと体を侵食する。

段々と感覚だけが敏感になり、髪一筋が触れる感触でも、体中を電流のようなものが疾った。


快感に耐え肩を震わせる様を面白そうに眺めながら、バルトフェルドが低く囁きかける。


「別に啼いて、ヨがってもいいんだぞ」
「…冗…談じゃ…ない」

キラは喘ぐような呼吸音をかみ殺し、無理矢理に言葉を紡ぐ。


「誰がアナタなん…っ」


あいも変わらず強気な発言に、中で少し位置をずらしてやると、キラは直ぐに息を上げた。


「誰が何だって?」


ワザと優しい表情で、その顔を覗きこんでやると
熱に潤んだ眼が、鋭く…バルトフェルドを睨み返す。


「…上官じゃなけりゃ…殺してます」
「残念だったなぁ?数少ない「上官」の命令は絶対だからねぇ、けど初めてでもないんだろう」
「・・・…」
「ザフトには圧倒的に女が少ないからな。それにコーディネイターって奴は、下手なナチュラルの
女より見目のいいと来てる。特に上なら尚更だ。こんなの茶飯事だろう?」


紫色の宝石が燃上る。
思わず見惚れる程に美しいそれは・・・屈辱の怒りからくるものだった。

しかし、否定する言葉がキラの口から紡がれることは無い。

沈黙は肯定。

・・・・別にその口から聞かなくとも、体が全てを教えていた。

男が男を受け入れる事は、女を相手する時とは訳が違う。

初めてでは、決してこうはいかない。
頻繁にあるというような感じでもなかったが、少年の体は確かに男を知っていた。

初めは少し時間がいったが、入ってしまえば絡み付くような内壁にこちらの理性が危くなる程だった。


「どうだ?そろそろお願いしてみる気になったかな?」


キラは目を細める事で、その気が無い事を伝えてくる。
その様に、ヤサシクナイ感情が心に滲み出すのを感じながら、顎に手を掛けた。



「ホント、誰に似たのか強情だねぇ」

まあ、それを屈服させるってのもロマンなんだがな
キラの口に指を含ませ、声を飲み込めないようにする。


そしてズズッと音がするように、深く腰を埋めた。

「・・・ぁああっ」

敏感になりすぎた内壁への強過ぎる刺激に、キラは思わず声を上げた。
更に律動を早めると、中で限界まで張り詰めモノが、弱い部分を容赦無く抉る。


ギシギシと椅子が軋む音を立て。

激しくなる動き。
キラの切ないような、喘ぎ声。

鎖骨に汗が伝い、
悩ましげに眉間へと皺が寄る。



そして、
はらりと髪が肩からこぼれ、キラの背中が仰け反る。


最奥に叩き付けるように注ぎこまれた、欲望の証。


力無く後ろに倒れそうになる背中を、バルトフェルドは片手で支えとめる。



乱れた髪の間から覗く、扇情的な表情。
バルトフェルドは、その薄く開いたキラの唇を貪るように味わう。


猛獣に囚われた獲物が開放されるのは、まだ先の事だった。