地域振興拠点について

 地域内分権に対する市民の認知について


【橋 質問】


 地方分権が進み市町村合併は全国的に山場を迎えておりますが、地方分権と市町村合併に対する国民の認識は、国と地方の財政硬直化による構造改革と財政改革であり、地方分権の受け皿として、基礎的自治体の自治能力を高めるため合併が進められていると理解しており、昨今ではこの流れを自然のものとして受け止めております。
 構造改革や財政改革は組織や権限、財源の再構築と移譲であり、あくまでも行政に係わるシステムの改善でありますが、忘れてはならないことは改革の根底には必ず精神的な思想があり、これらの改革の根底には、自主性、自立性、自己責任といった、「補完性の原理」が働いているということであります。
この考え方は「キリスト教社会倫理に由来する考え方で、政策決定は、それにより一番影響を受ける市民、コミュニティーに、より近いレベルで行われるべきだという原則」による考え方であます。
欧州統合に際して、EUと各国政府の関係を整理するための、拠り所とされた一種の哲学であり、今やグローバルスタンダードになろうとしております。
この考え方は、
個人でできることは個人で解決する。
個人ができないことは、まず家庭が解決する。
家庭でできないときは地域で解決する。
このように上部主体へ上がっていきますが、まずは最小の主体で解決を図ろうとするのが、その考え方であります。
この基本となる「補完性の原理」については、国民には理解されておらず、地方分権は国と地方の行政間での権限や財源のやりとりであり、身近なコミュニティーや個人にまで及ぶ哲学的意味を持つ原理であることを知りません。
地方制度調査会が出した最終答申はこの「補完性の原理」が色濃く出され、分権を基礎的自治体内にも広めようとするものであります。
 質問に入る前に、地方分権と地域内分権に伴う問題点を、それぞれに整理しておきたいと思います。
 まず地方分権についてでありますが、これまで国は法的あるいは政策的統制を優先させるため、課税や起債に対し優越的地位に立ち財政主権においての制限を設けてきました。
 そして地方都市は、地方交付税や全国一律の基準に準拠した公共工事などにより国の政策や財政に頼らざるを得ない制度的限界に悩まされてきました。
そのような状況において地方都市は、地方分権の流に対し首長、議員、職員も財源移譲を含め大いに期待し望むものでありました。
 また地方分権は国から地方へ権限を分けることであり、基からあった地方の権限に新たな権限と予算が付加されるだけで、意思決定に高度な政治的能力と自己責任が求められますが、公選された市長と議員が行うことに変わりがありません。
 次に地域内分権についてでありますが、市民は納税者としての義務を果たし、選挙にて選んだ市長に行政の運営を任せ、そのチェック機構としてわれわれ議員を選出してきたわけであります。
 ですから市民は地域内分権、地域マネージメントと言われましても自ら望んだものではありませんし、その必要性を理解できないわけであります。
 また地域内分権は、限られた地域での限られた事象についての政策決定とはいいながらも、公選によらない市民にその役割を担っていただこうとするものであります。
纏めますと、地方分権は現在も政策判断を仕事としている者が望み、その職務は従来の延長線上にあるということ、地域内分権は望むか望まないかの意思の無いところに、地域をマネージメントする仕事をお願いすることであり大きな違いがあります。
 地域内分権の発想は、以前から提言されてきたとは言うものの、国家的な方向性が示されたのは昨年の27次地方制度調査会の最終答申からであります。
 行政運営上必要な施策は、独自にでも先駆けて実行していくことに私も賛成でありますが、それは早く手がけるということであって、地域内分権のように市民生活に密着する制度変更には多くの市民の認知が必要であります。
今後、地域内分権は全国に波及するものと思えますが、国民にも市民にも認知の薄いこの政策を無理に推し進めることは、上位の主体から下位の主体への押し付けになると考えます。
またこれまで行政が決めたことに対し行動するという、待ちの姿勢であった市民にとって白紙の状態から作り上げていくやり方は、現状が満足なだけにその 背景や必要性について十分な説明が要るものと考えます。
 私は「補完性の原理」を含め住民主体の社会構造への変革と、住民個々の自主、自立を促すような説明が必要かと考えます。
 今回159回通常国会で可決された地方自治法の一部改正にあります内容、そして国県における考え方や流れをもっと前面に押し出し、松阪市は国から認められた権利の行使をフルに行うという姿勢を説明の中でするべきだと考えます。
市長の考えを伺います。


【市長 答弁】


 市民は、地域内分権や地域マネージメントと言われましても、別に望んだわけではないという基本的な考えを述べられましたが、事実、毎日の生活では、あるがままに動いていくという部分もあり、振りかざした考え方を市民の皆さんが日常的に持っているとは私も思っておりません。
 しかし、いろんなところで市政運営について自分の考え、願い、疑問を持っているのも市民であります。
 私はこういったことに目を当てるべきだと考えております。
 議員は多くの市民の認知が必要だと言われましたが、まさにそのとおりで、私の努力はそこにあるのだと考えます。
 松阪市が国から認められた権利の行使をフルに行なうということ、地方分権をまず訴えその上に立って地域内分権を話すということはもっともであり、私はそのことを同義だと考えます。
 望むか望まないかは市民のみなさんに考えていただく、しかし望むようにするのが私の仕事だと考えます。


【橋 要望】


 答申書を出された審議会の皆さんは、「補完性の原理」による地域内分権が今後の主流となることを認識して審議に携わっておりますが、説明を受けた市民はそのことを知らずに説明を受けておりますので、自治会組織が解体されるのではないかという、懸念を持つに至りました。
 地方制度調査会の出した答申、今年5月に可決された地方自治法の一部改正から説明しないと、審議会が勝手な答申をしたということになります。
 合併して大きなまちになろうとする動きと反対に、なぜ地域に分権するのかという疑問が出るのは「補完性の原理が」理解できていないからであります。
 まだまだこれから、説明会がなされますが、個々の住民が「補完性の原理」に目覚める、説明をお願いしておきます。


【橋 再質問】


 権限や財源を地域に任せることはそこに責任もお願いすることとなります。
 たとえばある地域に危険箇所があり、その地域からは早期改修の要望が出たとします。
 しかしその振興拠点では祭りが盛んで、祭りの充実に予算を使ったとします。
 そして、危険箇所のある地域で災害が発生した場合、住民協議会が責任を問われるということになります。
 「地域のことは地域で」というのは、響きはいいですが、権限と共に責任も発生することを説明すべきだと考えます。 市長の考えをお聞きします。
【市長 答弁】
 地元の組織には責任を持ってもらわなければなりませんが、市の責任を免れるものではありません。
【橋 要望】
 今後の懇談会においては地域組織の責任についても説明いただくよう要望いたします。 



2 地区説明会について


【橋 質問】
 次に地区説明会について質問をいたします。
 説明会は「松阪市地域マネージメント構築検討審議会答申書」を要約し作成された6ページの説明資料により7月まで行われましたが、この中に市長の考えはなく単に答申書の説明となりました。
 市長が諮問し報告を受けた事項は、市長への答申であって市民への答申ではありません。市長はその報告を基に市長政策を作り上げ、市民に知らしめることで、はじめて政策として市民に認知されるのだと考えます。
 審議会の答申は市長が受け止め、市民には松阪市としての主体性を持った説明をすべきだと考えます。
 現在は各地域の住民全体を対象とした懇談会を市長自ら実施されておりますが、その中で市長は「答申を尊重する立場にあるが、そのまんまやる立場でもない、市民の皆さんと相談しながら進める。」と発言されております。
 7月までの説明会は答申を受けて「松阪市は今後このような方向で進めたいがどうか」という、相談の会ではなく答申内容の説明に終始した説明会でありました。
 結果地域の代表者には答申のとおり進めるという誤解を生みました。
 審議会の答申を市長はどのように受け止め、どのような考えで7月までの説明会を実施されたのか伺います。


【市長 答弁】


 答申書の説明会は、こういった考えもあるんだという事を先行して職員が説明に回りましたが、市民に誤解を招いたことは、技術的な問題があったと思っております。


【総合政策部長答弁】


 答申の考え方を先に説明するという手法は非常に新しい手法であり、一部に誤解を招いたことはございましたが、かなり御理解をいただいたと考えております。


【橋 要望】


 新しい手法という事ですが、それであるならまずその事の説明がいると考えます。「今日は市長の考えは置いておいて、審議会の答申を説明しますから、皆さんからご意見をください」というように進めないと市民にはわかりません。
 いったんボタンを掛け違うと後の労力が大変だということを市長も十分認識をいただいたと思います。住民を混乱させないようお願いします。


3 地域振興局とのちがいについて


【橋 質問】


 次に地域振興局と地域振興拠点の違いについて伺います。
市長は平成の合併は、昭和の合併と違い地域の自主性を奪うことのないよう進めたいと発言されております。
 そのことに私も異論があるわけではありません。
 しかし地域振興局と地域振興拠点は発生の原点が違う以上、理論的な整理と区別をしておく必要があると考えます。
 地域振興局は合併の名残として、旧地域に極端なサービス低下をきたさないよう、経過措置的に残していくものであると考えます。
 一方地域振興拠点は補完性の原理により新松阪市の中で、地域内に分権を進めるための拠点であり、これは成長しその役割は一層重要なものになると位置付けられます。
 ただ、事務所をどこにするかという現実的な次元においては、既存の施設を利用する意味から特定されてくることはやむをえないと考えますが、エリア割をどうするのか、事務所の位置はどこが適当かなどについては、新松阪市の中で客観的に合理的に考えるべきであり、また地域の主体性も大事であります。
 今後は合併による地域振興局は整理され、新たに地域マネージメントによる地域振興拠点が誕生してくるものと考えますが、市長の認識を伺います。


【市長 答弁】


 いずれ地域振興局がなくなり、地域振興拠点に置き直されていくことになるのかもわかりませんが、地域振興局が地域内分権として十分機能していくものであれば、それでいいんではないかと思います。






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