講 師 松崎運之助先生
「演題」 〜人は何のために学ぶのか〜
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日 時 |
平成18年6月14日(水) |
時 間 |
午後 7:00開演 |
会 場 |
松阪市市民活動センター
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住 所 |
松阪市日野町788 |
会 費 |
2,000円(講演会) |
茶話会 |
1,000円(うちの茶の間) |
松崎先生と語ろう会 |
松崎運之助先生のプロフィール】
日本中に「学ぶ」ことの意味を問いかけた山田洋次監督の映画「学校」で西田敏行が演じた主人公のモデルが、松崎運之助さんです。1945年に中国東北部(旧満州)で生まれた松崎さんは、中学校を卒業後、三菱長崎造船技術学校・長崎市立高校(定時制)を経て、明治大学第二文学部を卒業。 東京の江戸川区立小松川第二中学校夜間部を経て、現在足立区立足立第四中学校夜間部に勤務。
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[映画・学校]
イノさん(猪田)のモデルは実在の井上という生徒であり、映画のエピソード(競馬の話、医学部生に夜間中学を紹介された話、急病で死去した話など)もほぼ事実である。この映画によって夜間中学校は一挙に知名度が高まった。
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夜間中学があります!
・・・・人は何のために学ぶのか・・・・
松崎 運之助著
山田洋次さんが監督した、映画の『学校』、あの映画のおかげで夜間中学のこともずいぶん知られるようになりました。それまでは世間の人々にほとんど知られない学校でした・・・・映画の力は大きいですね。
今、僕が勤務しているのは東京都の足立区立第四中学校というところの夜間学級なんですけど、ここは、できてから今年で50年目を迎えます。だから、その50年間の大部分は人に知られないまま場末でね、灯りをずっとともしてて、そしてたくさんのいろんな思いを持った人たちを迎え入れていた、ということになるわけです。
夜間中学というのは、日本の教育制度とか学校の体系の中からはちょっとこう、外れてるような位置にありますから……。本当に見ようと思う人しか、なかなか見ることができない。でもやっぱり、そういう見えないところのものをきちっと見るようなまなざしをつちかってほしいなあと、そういうふうに思っております。
勉強はなんのためにやるのか・・・・それは、人に勝つため、人の上に立つため、いい学校に入りいい会社に入るため・・・・。
そんな薄っぺらい処世術のために勉強するって、まあそんな単純には誰も思ってないと思うんですけど、勉強は、そういう軽いものでは当然ないわけです。
なんのために勉強するのか。僕は、人間が幸せになるためにやるんだと思いますよ。蹴落とすためにやるんじゃない。優越感のためにやるんじゃない。プライドのためにやるんじゃないですよ。そんなことのために親は苦労して子育てしたんじゃないと思うし、先生たちも一生懸命自分の思いを伝えようとしているのではないと思いますね。
まあ、毎日いろんな勉強がある。おびただしく勉強してきています。小学校・中学校・高校・大学と、たくさんの時間を勉強に費やしてきております。じゃあ、そういう勉強はなんなのか。
僕はこれはね、人間が幸せになるための道具であり、材料であると思います。その道具や材料を上手に使えば、自分の可能性を広げることができる。仲間とつながっていくことができる。世の中を幸せな社会にすることができる。問題は使い方なんです。
夜間中学の生徒さんたちは、手本を見ながら「山」という字を書いていかれます。手本はプロの書道家が書いた立派な字ですよ。それを横に置いて、生まれて初めて筆を持って書いていかれますけどね、最初の一本の線から大騒ぎですよ。ギャーギャ一言いながら線を引かれるんです。