No.52 仲達
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全1巻 | 文庫小説 |
角川文庫/角川書店 | |
塚本史(つかもと・せいし)・著 |
高校時代にハマった歴史小説として吉川英治先生の『三国志』がありました。
それ以来、中国史も好きになり、宮城谷昌光先生の一連の著作や陳舜臣先生の著作にもハマったりもしました。
前々から気になっていたついに満を持して購入して読了したのが今回取り上げる『仲達』です。
諸葛孔明のライバルとして有名な司馬仲達を主役にした小説です。
出だしから引き込まれました。
曹操の葬列から始まって曹丕と仲達の会話から始まる
三国志ではあまり見ない場面からのスタートから引き込まれました。
彼なりに魏帝に尽くすものの、最後は権力闘争に巻き込まれて
さらに無能な皇帝に愛想を尽かすという流れが上手く表現されていました。
読んでいて、「こんな目にあったら、そりゃ謀反したくもなるわな」と同情すらしましたモン。
個人的には、晋として統一した司馬炎が堕落して滅亡へ転げ落ちていくまでを描く
司馬一族の物語を見たかったです。
1人だけどぶつ切れになってしまうのですが、一族の興亡を描くと、起承転結がハッキリしたいい話として読めますから。
80/100点
作中では盛り上げるために、おそらく創作と思える描写がありますが、
かなり真実味があり、感心してしまいました。
ホントかなと思いますが、いずれ真実を知る機会があればいいなと気楽に考えています。
No.53 ホリエモンとオタキングが、カネに執着するおまえの生き方を変えてやる!
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全1冊 | 単行本 |
徳間書店 | |
堀江貴文(ほりえ・たかふみ) 岡田斗司夫 (おかだ・としお ふりっくす)・共著 |
まずはじめに、論理的に展開する新書本みたいな内容を想像して読むと大失敗します。
というのは、ホリエモンとオタキングの対談を文字に起こしているので
話題が結構変わるんです。
最初の方は、貨幣経済と評価経済を話しているので、本の題名に合致した内容になっていますが、
最後の方は、オネアミスの翼の続編作るとしたらどうするって話になってますから。
僕自身は、カンブリア宮殿とかに出てくるような、お堅い話を考えていたのですが、
そういうのとは違うんですよね。
あと、ホリエモンやオタキングという有名人だから出来る生き方なので、
フツーの人には全く参考になりませんw。
あー、だから、僕的には今ひとつ意味のない話に感じたんだ。
この手の本って、何かしら今の自分の改善とか物の見方を変える参考になる論が展開されている事に
僕は意味を見出しています。
もっとも、最近は、ネットなどの文化の変化によって
今までは考えられない、または出来なかった生き方ができるようになったという意味では参考になりました。
50/100点
評価は正直高く付けられません。
まあ、僕自身が岡田氏の言動に注目して著作なども結構購読しているので、
新鮮味を感じなかったのでしょう。
貨幣経済と評価経済について知りたいと思ったら、読まれても良いかと思います。
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全3巻 | 歴史小説 |
中公文庫/中央公論新社 | |
宮城谷昌光(みやぎたに・まさみつ)・著 |
基本的にはいつもの宮城谷先生らしい作品です。
主人公が人として能力も人格も素晴らしくて、周囲に有能な人物が群れるようにいる、という。
下巻で特に感じますが、微妙にまとめ切れていない印象を受けます。
それまで、心理描写にたくさん紙数を費やしていたのが、単純に事実の羅列に終わってしまってます。
また、上記した有能なキャラクターたちですが、
相互に仲が悪かったり、有能でなかったから戦に負けて死んだといった事が書かれていて
「あれー」って、妙な違和感を感じたりもしました。
もっとも、とにかく登場人物の数が半端なく多いので、僕は誤解している可能性がある事を書いておきます。
本の冒頭に主要の人物紹介がありますが、不足してますし、
もっとたくさんのキャラクターの紹介をして欲しかったと思います。
この文章を書いたのは2014年9月で、暑さも落ち着いてきたし
秋の夜長に、また再度読み直してみようと思います。
70/100点
下巻の最後4分の1くらいから端折り方が少し酷くなっているので
その分だけ評価は下げさせて頂きました。
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全11巻 | コミックス |
ヤングガンガンコミックス/スクウェア・エニックス | |
勇人(ゆうと)・作画 |
幼稚園児と、そこの先生たちの日常を描いたコミック作品です。
メチャクチャにドラマチックな事件は起こりませんが、
それでも、幼稚園児的には大事件である事を実感を持って分かるように丁寧に描かれています。
絵柄も、1巻から最終巻まで、ほとんど変わっておらず、安心して読めます。
純粋な気持ちを持って読めば、とても楽しめる作品だと思います。
ただ正直言うと、僕は続刊を買うだけ買って詰んでいる時期があったんですよね。
何でなのか、上手く言葉に出来ませんが。
今回、感想を書くにあたって、一度全巻読み直してみたのですが、
作者的には、描きたい事はほぼ全て描けて幸せな作品だったんじゃないかなと感じます。
幼稚園の日常を描くといっても、そこの先生たちは成人なワケで。
ハッキリしない土田先生が、山本先生に思い切って告白するシーンと
それを手助けした幼稚園児たちのエピソードは、この作品ならではです。
終わり方は、最初読んだ時は、土田先生と山本先生の結婚式で終わって欲しかったですが、
土田先生が告白する時に、桜ママに泣きついた杏のシーンがあったので、
これ以上杏が泣くのもどうかと今は思うので、この終わり方で正解だと思います。
この作品の面白さのツボは、山本姉妹と花丸先生と土田先生と山本パパが
お互いに関係者なのに、ほぼ全員がそれに全く気付かず言いたい放題言ってる部分です。
それに加えて、鈍そうな山本姉妹が、お互いの相手の男性の気持ちには気付いていて
お互いで鈍いなあと苦笑しあっているシーン。
漫画家の先生が女性という事もあってか、微妙な心理描写と表情は上手く描けていますね。
密度が濃く、11冊という冊数でも十分読み応え有りますよ!
85/100点
点数は高めにつけました。
絵が全巻丁寧な部分と微妙な心理描写がプラス材料です。
特に絵柄が最初の頃と最終巻近くで、かなり変わっていたり
また、絵の質が落ちている作品って結構多いンです。
特に劣化もないのもポイントとしては高いです。
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全4巻 | コミックス |
ゲッサン少年サンデーコミックス/小学館 | |
犬村小六(いぬむら・ころく)・原作 小川麻衣子(おがわ・まいこ)・作画 |
原作は同名のライトノベルで、それを漫画化したモノが今回の作品になります。
おそらく「2年くらいでキッチリ描いて下さい」という編集部の意見があって、
ホントにその通りに描かれた幸運な作品だと思います。
漫画雑誌ゲッサンの雑誌は全く読んでないですが
(スイマセン、僕、雑誌はまず読まないコミックス派の人間です。)
大御所の大作ではないケド、佳作としての名作という評価は得られたのではないかと思います。
『MIX!』とか『信長協奏曲』など、楽しんで続刊を期待して待ちながら読んでいる作品はいくつかあります。
月刊誌は、週刊誌ほど締め切りに追われませんから、話作りが丁寧な作品が多くて良いですよねー!
で、この作品の素晴らしさは、やはり完全なハッピーエンドではない点でしょう。
作戦は遂行されますが、主人公とヒロインは結ばれません。
ラノベなら絶対に愛の逃避行となるべきですから!
原作の話になると思いますが、おそらく(!)
ラストを決めてから、細部を書いた作品だろうなと思います。
マンガという絵を扱う作品として見ると
連載当初と最後の方では、多少絵柄は違います。
若干頭身が下がってきているように思いますが、
基本的には変わってないですから、楽しく読めますよ。
絵柄についてもう少し書くと、劇的に上手くないですが、
作者的にデフォルメが統一されて、実に見やすい絵で評価できます。
デフォルメはされていますが存在感はシッカリ感じる、というさじ加減が上手く効いている。
さて、最終4巻の半分くらいで『とある〜』は終わっていて、読み切りが2本収録されています。
その中に、現在連載中の『ひとりぼっちの世界征服』に繋がる話があって、
その作品が意外に楽しく読めました。
今回のコミックスは、犬村先生原作の話の力が大きいですが、
やはりそれを表現する小川先生の絵があって成り立つ作品です。
僕は、犬村先生のラノベ(と単純にくくれるレベルの作品ではないのですが。)を読んでいて
それの漫画化という事で、この作品を読みました。
しかし、それがきっかけで作画担当の小川先生のファンになって、現在は『ひとりぼっちの〜』を楽しく読ませて頂いてます。
そんな訳で、この作品を読むといつも思うのが、
「縁はどこにあるか分からないし、出来た縁は大切にしないとイケない」と思ってしまうのです。
80/100点
ファンだから点数は甘めです(苦笑)。
それ以前に、原作モノは原作が旬なウチにやってしまおうと
年数を短く区切って、キチンと最後までやってくれない作品が多いですが、コレは違います。
4巻という短いかもしれませんが、密度の濃い物語が読めます。
原作の方は、この『とある飛空士〜』という作品で人気に火がつき、以降シリーズ化されています。
ラノベと単純にくくれない骨太の物語が読めますので、機会があれば小説版も読んでみて下さい。
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全11巻 | コミックス |
花とゆめコミックス/白泉社 | |
高屋奈月(たかや・なつき)・作画 |
「フルーツバスケット」の高屋先生の新作というコトで期待して購読してました。
しかし、僕には、読むのに時間がかかる、エネルギーが要る作品でした。
結構少女漫画っぽい繊細な描写が多かったです。
でも、高屋先生らしい作風はありました。
主人公の親友で黒づくめの毒舌女子がいるとか(苦笑)。
基本的な話としては、転校生になる男子に一目惚れした主人公・女子が
周囲を巻き込みながら、高校生活を送っていくという話。
僕的に、この作品に大きく感じた事が2つある。
サクヤが、髪がパツパツに短い女の子から、イロイロあって髪を伸ばして1人の女性になった事。
もう1つは、ユーリが自分の気持ちを何とか整理してサクに告白して玉砕した事。
残念だったのは、後半に急ぎ足で終わってしまった事。
最低限必要な事だけは描いたって感じが強く、ラストの最後のページを読んだ時に
もう少し読みたいと思ってしまった。
僕自身はユーリを応援してました。
自分に素直になれなくて、サクをからかってしまった最初の遭遇から
自分の気持ちに正直になって、サクの事を可愛いと顔を見つめ合って言うとか。
もっとも、最後は、玉砕しましたが、みっともなく振る舞う事はなく、そこは尊敬しちゃいます。
60/100点
点数は少し低いです。
特に後半2巻ほどはかけ足で、少女漫画作品独特の余韻が少なかったと思います。
まあ、誰かが誰かを選ぶのなら、選ばれない誰かがいる訳で、
「フルバ」はそこまでキッチリ描ききってくれたので、今回もそうしてほしかったな。
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全20巻 | コミックス |
ジャンプ・コミックス/白泉社 | |
大場つぐみ(おおば・つぐみ)・原作 小畑健(おばた・たけし)・漫画 |
「デスノート」の名コンビが再び!という作品です。
内容は、中学時代に漫画家になろうと約束した男子二人が、
その夢を叶えるために頑張っていくというモノ。
そのうちの一人が、声優を目指す女子と「お互いの夢が叶ったら結婚しよう!」と約束するラブコメ的な部分もあります。
当初は、あまりに赤裸々にジャンプ連載の漫画家の実情を描いていた部分がショッキングでしたが、
徐々に漫画を描くという意味でのバトル漫画を展開していきました。
しかし、色んな漫画家が出ていますし、
アンケート至上主義のジャンプのシステムを皮肉った漫画家(七峰くんなど)も出てきたりしてますw。
セリフの量が異常に多いのが大場先生原作の特徴で、少し読みづらい部分はありますが、
デスノートほど複雑ではなかったし、
それは、キチンと説明したいという表れなので、さほど悪く取ってはいません。
明確なバトルとしてはないのですが、燃えるシーンがアチコチにあるのと
アンケートで人気を取る、取らないで丁々発止のやり取りが、バトル漫画だと思わせます。
基本的な作品に対する感想は、アニメの方で書きましたが、
漫画は少し間延びしたように感じる部分もありますね。
ただ、ラストは終わりを急いだように感じられて、アニメの方がキッチリ描いていたのは残念です。
印象が残る部分としては、
病室で原稿を描くサイコーの手を亜豆が取るシーンや、
編集たちが酒場でサイコー達の印象を語り合うシーン、
さらにラジオ番組で亜豆とサイコーがお互いに思いを告げ合うシーンなどですね。
何気に平丸先生がリア充なのは許せないですがw。
75/100点
ラストが弱かったという部分で点数は少し低目に付けました。
画像は、使った8巻とサイコーとシュージンが出ている10巻で迷いましたが、
構図の面白さと漫画を描いているシーンなので、8巻にしました。
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全1巻 | 新書本 |
PHP新書/PHP研究所 | |
金子千尋(かねこ・ちひろ)・著 |
PHPの新書本という事で、ビジネスマンが読んで納得という本になっています。
金子投手の投球論が書かれていますが、目からウロコなのは
「投手が満足する球を投げるのではなく、徹底して打者が嫌がる球を投げるようにしている」という事です。
大体の人は、自分がどれだけパフォーマンスを上げられたかに注目しますが、
金子投手はあくまで相手の立場から考えています。
それに気付いたのも、やはり感性が豊かな方だからだと思います。
基本的に、書いてある事は単純で、スイスイ読み進められます。
おそらく、インタビューを取って、それを文字原稿に起こしているタイプの本なんでしょうね。
僕自身の仕事がサービス業のため、相手(お客様)の事を考える部分で、とても勉強になりました!
60/100点
サッと読めましたが、内容が濃いかというと微妙なので、点数は少し低めに付けました。
自分が見て考えて対応してきた事が書かれているので、
野球ファンなら、プラス10点くらい増しで考えて良いかなと思います。
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全5巻 | 新書本 |
角川文庫/角川書店 | |
西原理恵子(さいばら・りえこ)・著 |
まずはじめに書いておくと、この方の著書は好みがハッキリ分かれます。
とにかく、書いてある事がぶっちゃけ過ぎて品がないから。
大体、この方の作品が嫌いだと、それが理由に来ると思います。
人それぞれですから、受け入れられない人はいると思います。
この手の本を読む際、僕が注意している事は、「自分が何かするに当たって参考になるかどうか」と、
「世の中、こういう人もいるんだなー」と、自分の知識や見聞を広めるために読んでいます。
単純に面白いかどうかというのもあるかな?
身も蓋もない事をガシガシ書いてあるから、悲しかったり、腹が立つ事でも、思わず笑ってしまったりします。
その辺のオバちゃんのダベリなんですが、僕はスゴク親近感が湧いて、この方の著書は、色々読んでたりします。
内容は、野村克也監督の著書と同じ感じかな?
いつも書いてある事が7〜8割で、新しい事が2割くらいあるっていう。
それは、文化が変わってきて、西原先生が20代の頃と、50代の頃だと、少し違う感じの発言がありますかね。
個人的には、テーマがイロイロあって、飽きないですよ。
いつも書いてある事が8割と書きましたが、基本的に、西原先生はかなり波瀾万丈な人生を送られた方なので、
それ聞くだけで、結構刺激的です。
かっ飛んだことしてるなーと呆れつつも苦笑してしまう、そんな感じの本です。
70/100点
5冊続いた事で1巻の頃のパワーと、最終5巻の頃のパワーを比べると
最後が少し落ちているように感じます。
ただ、それは、テーマが楽しく読める内容ではなくなっていたりもするのですが、
生きていたら、いずれ直面する事もがあり得るので、とても勉強になりました。
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全1巻 | 新書本 |
日本経済新聞出版社 | |
南場智子(なんば・ともこ)・著 |
ワールドビジネスサテライトで見かけてからずっと気になっていた本ですが、
やっと購入し読み終えました。
特に創業前後の頃は、笑えるエピソードが多く、読みながら笑ってましたw。
ただ、個人的にはエリートさんのお話なんですよね。
大企業の人に出資してくれと電話で話すとか、まずムリでしょう。
だから、フツーの人は参考にしてはイケマセン。
もっとも、叩き上げの急成長の企業の場合、
創業者がやれと言っていることをやろうとすると完全ブラック企業になります。
その意味で、人の上に立って会社を興し、上場企業にまで成長させるなんて
フツーの人には到底ムリだと思いますし、やってはイケないです。
後半、気になったのは、南場さんが
「社内で自分の意見に反対する者は、容赦なく攻撃した」と何度も書かれていて、
この人と一緒に働くのはかなりシンドイんだろうなと思ってしまいました。
僕自身は読んでいて楽しめましたが、
そこはそれ、外部の人間で当事者でなかったからでしょうね。
もっとも、読み物としては、笑える部分も多く
(ラストの方は、経営者の心得的な事が書かれており、面白さはイマイチ。)
読んでみてもいいかもしれません。
60/100点
書評的なモノもネットで見ましたが、あまり高評価ではないものが多かったように思います。
もっとも、ビジネス書で、あまり褒められている本はないです。
ラノベとかと違って、最初から懐疑的な目で見られがちなジャンルですから。