大型デジタル時計


2016年課題研究作品

  2008に製作した大型多機能デジタル時計は、いろいろな場面で時計、ストップウォッチ、タイマー、残日数計などに活用されてきた。
 特に毎年夏に本校図書室で行われる「高校生ビブリオバトル」では、発表時のタイマーとして活躍している。毎年、この時期になると電気工学科の図書委員が学校の端から端まで移動していたので、今回は図書室用のものを製作して、平常時はデジタル時計として、ビブリオバトル時はタイマーとして使えるようにした。また、前回の反省から夜暗くなったときは表示輝度を落として減光するディマー回路を付け加えた。
 大型多機能デジタル時計の製作
1.LED セグメントの製作 
    発光セグメントは、6個の高輝度発光ダイオードを直列にして、24Vで駆動するための電流制限抵抗をつけたものである。
基板にLEDのハンダ付けを行い、点灯と光軸のチェックを行った。
2.基台の加工 
   

 LED セグメント、時計回路、電源回路、バックアップバッテリー回路などを取り付けるアルミサンド板の基台に設計図に従って取付用の穴をあける。基台には、加工のしやすさと静電気の影響をすくなくするため、プラスチック板の両面をアルミ板でサンドしたものを使用した。
3.組み立て・動作試験 
   
  ハンダ付けをした発光セグメントを7つずつ8 の形に基台にネジで取り付けてダイナミック配線を行う。
 デジタル時計回路はPIC を使用した市販キットを使用し、それを表示部分のみ24V駆動できるように改造したものである。このデジタル時計は多機能なので普段は時刻表示の時計として使用し、必要時にはストップウオッチや残日数計として使用できるものである。停電時に時計が狂わないようにするニッケルカドミウム電池によるバッテリバックアップ回路と周りが暗くなったときにLEDの輝度を下げるディマー回路を付加した。この状態で1週間ほど放置して動作チェックと性能試験、および精度調整を行った。
  大型多機能デジタル時計の製作
 
4.アルミフレームの切断・加工 
   



 アルミのアングル(30mm × 15mm)を基台の大きさに合わせて切断し、穴明けをした後に超強力接着剤で接着して研磨塗装してフレームとした
5.操作用スイッチボックスの製作 
   
 多機能モード切替や時計の調整、ストップウォッチやタイマー使用時のスタートストップ操作用の外部スイッチのプラスチックケースを加工。使用したタクトスイッチの形状に合わせてテーパー状に穴を空けて取り付けた。
6.取付アルミ枠と移動用パイプフレームの作成・取付・完成 
   
 大型多機能デジタル時計の製作
   
 
   大型多機能デジタル時計の製作
ディマー機能の確認
センサー部を手で覆うと表示の輝度が減光される。
  今年度は、2008 年に製作して現在もいろいろな場面で活躍している大型多機能デジタル時計を図書室用に作成することにした。

 2回目の製作なので簡単にできるかと思われたが、作業を開始してみるとやはりトラブルの連続で改めて「ものづくりはトラブルとの闘い」であることを実感した。前回作成したものは夜になって周囲が暗くなったときに表示が明る過ぎたため、今回は周囲の明るさが暗くなるとLED の輝度を落とすディマー回路を追加したが、製作した回路にトラブルが発生し結局3回の試作を行うことになった。また、バックアップ用のニッカド電池を容量の大きなラジコンカー用のもの(1400mAh)を予定していたが、組立の段階になって厚さが大きくてうまく収まらないことが発覚、急遽コードレスホン用のもの(800mAh)に変更することとなった。その他にも生徒諸君の作業でもいろいろなトラブルがあったが、その都度、生徒諸君と相談してなんとか乗り切ることができた。

 ものづくりには、多くのトラブルが発生することを身をもって体験し、同時に自分たちの意欲と協力でそれを克服して成長した彼らに拍手を送りたいと思います。ご苦労様でした。
 
 


 
2008年課題研究作品

  2005年に製作した工事室のデジタル時計が評判が良いので、運動会でのストップウォッチ掲示や資格試験までの残日数計などいろんな場所で使える移動式ディジタル時計を製作した。
   大型多機能デジタル時計の製作 
1.発光セグメントの製作
   
 発光セグメントは、6個の高輝度発光ダイオードを直列にして、24Vで駆動するための電流制限抵抗をつけたものである。
基板をフォトエッチングして、パターン面のグリーンレジスト塗装、部品メンの黒マット塗装、穴開け、切断、部品取り付け、ハンダ付をそれぞれ分担して作業をすすめた。
3.組み立て・動作試験
   


  ハンダ付けをした発光セグメントを7つずつ8 の形に基台にネジで取り付けて配線を行う。
 デジタル時計回路はPIC を使用した市販キットを購入し、それを表示部分のみ24V駆動できるように24V用ドライバ回路を付け足して改造したものである。このデジタル時計は多機能なので普段は時刻表示の時計として使用し、必要時にはストップウオッチや残日数計として使用できるものである。
 他には停電時に時計が狂わないようにニッケルカドミウム電池によるバッテリバックアップ回路を付加した。これによって40時間くらいはバックアップできるはずである。この状態で1週間ほど放置して動作チェックと性能試験を行った。
 3.アルミフレームの切断・加工・組立
   
  アルミのアングル(30mm × 15mm)を基台の大きさに合わせて切断し、機械科にお願いして溶接していただいた。その後、アルミフレームにねじ穴、電源とコントローラー用の穴を開けた。

 基台と発泡ウレタンに静防止スプレーを塗布してから、組み立てを行った。基台にはアルミアングルを取り付け、4mmのねじ穴をタップで開け、アルミフレームと表示用のカバーパネルをネジ止めで取り付けて完成した。
4.移動用フレームの作成・取付・完成 
   

 最後にイレクターパイプで移動用のフレームを組み立て、完成したデジタル時計ユニットを取り付け、配線工事を行って完成した。
  前回、電気工事室に取り付けるディジタル時計を製作していたので、今回はそれを改良して、どこにでも持ち運び自由なディジタル時計を製作することとした。

 前回に比べて改良した点は、
・高輝度発光ダイオードの色を赤から黄色に変更した。これによって表示が目に優しい感じのオレンジ色になった。
・全国高文祭三重大会にむけて、移動式残日数計作成したとき、静電気による誤動作トラブルが発生したので、今回は最初から静電気対策として、基台をアクリル板からアルミサンド板に変えることと、発泡ウレタンに静電防止スプレーで静電気防止剤を塗布するという2点を改良した。
・いろいろな場所での使用に耐えられるようにフレームを溶接し、フロント表示部には乱反射用のシートだけでなく透明アクリル板を使用した。

 課題研究としては2回目でも生徒達にとっては初めてなので、やはり途中何回かのトラブルが発生してしまった。
しかし、生徒諸君の努力のかいあって形のよい完成品となりよかったと思う。今後は、これを移動式という利点を活かして、資格試験の残日数計や、運動会のストップウォッチ、工業祭での時間計測などに役立てていきたいと思っている。


 

2005年課題研究作品

電気工事室で行う第2種電気工事士の実技試験の練習は時間制限があり、作業中に経過時間を知ることのできるストップウォッチがあると大変便利です。
本校の電気工学科には以前作成したシーケンサ駆動のものがあったが、表示部に電球を用いていて大型であったため、今回PICのデジタル時計キットを改造して高輝度発光ダイオード表示のものを製作。
大型多機能デジタル時計の製作
1.表示器用ウレタンフォームの製作、塗装
セグメント部分以外をマスクすると同時に全体の強度を支えるために製作。

発砲ウレタンフォームをカッターナイフで7セグメントの形に切り抜いた。

けっこう難しい作業なので、全員で行いうまくできたものを採用することとした。

2.発光セグメントの製作
発光セグメントは、6個の高輝度発光ダイオードを直列にして24Vで駆動するための電流制限抵抗をつけたものである。

基板をフォトエッチングして、穴開け、切断、ハンダ付をそれぞれ分担して作業をすすめた。

この時、基板の切断作業で不注意な作業から大きなミスが発生し、再度エッチングからやり直すというトラブルが発生した。

3.基台の加工
発光セグメント、時計回路、電源回路、バックアップバッテリー回路などを取り付けるアクリル板の基台に設計図に従って取付用の穴をあける。アクリル板なので注意して作業しないと割れてしまう。

4.組み立て・動作試験
ハンダ付けをした発光セグメントを7つずつ8の形に基台にネジで取り付けて配線を行う。

デジタル時計回路はPICを使用した市販キットを購入し、それを表示部分のみ24V駆動できるように24V用ドライバ回路を付け足して改造したものである。このデジタル時計は多機能なので普段は時刻表示の時計として使用し、電気工事試験の補習時にはストップウオッチとして使用できるものである。

他には停電時に時計が狂わないようにニッケルカドミウム電池によるバッテリバックアップ回路を付加した。これによって40時間くらいはバックアップできるはずである。

この状態で1週間ほど放置して動作チェックと性能試験を行った。

5.アルミフレームの取付
基台にアルミフレームと表示用のカバーパネルを取り付けて完成した。この時、カバーパネルがまっすぐに切断されていなかったためにきちんとフレーム内に収まらず何度もやり直しをするというトラブルが起こった。

6.工事室への取付・完成
最後に工事室正面の壁にコンクリートドリルで穴を開け、コンクリートプラグを装着して完成したデジタル時計ユニットを取り付け、配線工事を行って完成。

今回久しぶりに「ものづくり」の課題研究を行ってみて、感じたことはやはり実際に何かをつくるという体験をすることが、以下に大切かということであった。
平素の生活の中で、ものをかたち作るという経験が乏しくなった現代の生徒は、緻密な作業や丁寧な作業を面倒くさがる傾向が強く、また、ものの扱いが荒いという面もある。課題研究が始まったころは、作業が指示した通りに行われず手抜きや荒っぽさが目につき、何度か大きな声を張り上げて怒ったこともあった。しかし、そうして作業のやり直しや修正を余儀なくされるうちに、だんだんとものづくりに対する姿勢が備わってきたように思う。どの生徒の感想にも「ものづくり」を通して慎重に丁寧に作業することの大切さがわかったと書かれている。

また、自分たちで苦労して製作した作品に対する愛着からいつまでも壊れずに動いていて欲しいという「ものを大切にする」姿勢が生まれてきたのではないかと思う。

ものを製作する課題研究は、最終的に完成しないとその意味がないことで、準備・計画をする教員にとっても非常にプレッシャーがかかるものであるが、今回の生徒の感想を読んでいると、やはり大切なことであると再認識させられた次第であった。