2008に製作した大型多機能デジタル時計は、いろいろな場面で時計、ストップウォッチ、タイマー、残日数計などに活用されてきた。
特に毎年夏に本校図書室で行われる「高校生ビブリオバトル」では、発表時のタイマーとして活躍している。毎年、この時期になると電気工学科の図書委員が学校の端から端まで移動していたので、今回は図書室用のものを製作して、平常時はデジタル時計として、ビブリオバトル時はタイマーとして使えるようにした。また、前回の反省から夜暗くなったときは表示輝度を落として減光するディマー回路を付け加えた。 |
 |
1.LED セグメントの製作 |
|
 |
発光セグメントは、6個の高輝度発光ダイオードを直列にして、24Vで駆動するための電流制限抵抗をつけたものである。
基板にLEDのハンダ付けを行い、点灯と光軸のチェックを行った。 |
2.基台の加工 |
|

 |
LED セグメント、時計回路、電源回路、バックアップバッテリー回路などを取り付けるアルミサンド板の基台に設計図に従って取付用の穴をあける。基台には、加工のしやすさと静電気の影響をすくなくするため、プラスチック板の両面をアルミ板でサンドしたものを使用した。 |
3.組み立て・動作試験 |
|

|
ハンダ付けをした発光セグメントを7つずつ8 の形に基台にネジで取り付けてダイナミック配線を行う。
デジタル時計回路はPIC を使用した市販キットを使用し、それを表示部分のみ24V駆動できるように改造したものである。このデジタル時計は多機能なので普段は時刻表示の時計として使用し、必要時にはストップウオッチや残日数計として使用できるものである。停電時に時計が狂わないようにするニッケルカドミウム電池によるバッテリバックアップ回路と周りが暗くなったときにLEDの輝度を下げるディマー回路を付加した。この状態で1週間ほど放置して動作チェックと性能試験、および精度調整を行った。 |
|

|
4.アルミフレームの切断・加工 |
|


|
アルミのアングル(30mm × 15mm)を基台の大きさに合わせて切断し、穴明けをした後に超強力接着剤で接着して研磨塗装してフレームとした |
5.操作用スイッチボックスの製作 |
|

|
多機能モード切替や時計の調整、ストップウォッチやタイマー使用時のスタートストップ操作用の外部スイッチのプラスチックケースを加工。使用したタクトスイッチの形状に合わせてテーパー状に穴を空けて取り付けた。 |
6.取付アルミ枠と移動用パイプフレームの作成・取付・完成 |
|

|

|
|

|
|
|
 ディマー機能の確認
センサー部を手で覆うと表示の輝度が減光される。 |
今年度は、2008 年に製作して現在もいろいろな場面で活躍している大型多機能デジタル時計を図書室用に作成することにした。
2回目の製作なので簡単にできるかと思われたが、作業を開始してみるとやはりトラブルの連続で改めて「ものづくりはトラブルとの闘い」であることを実感した。前回作成したものは夜になって周囲が暗くなったときに表示が明る過ぎたため、今回は周囲の明るさが暗くなるとLED
の輝度を落とすディマー回路を追加したが、製作した回路にトラブルが発生し結局3回の試作を行うことになった。また、バックアップ用のニッカド電池を容量の大きなラジコンカー用のもの(1400mAh)を予定していたが、組立の段階になって厚さが大きくてうまく収まらないことが発覚、急遽コードレスホン用のもの(800mAh)に変更することとなった。その他にも生徒諸君の作業でもいろいろなトラブルがあったが、その都度、生徒諸君と相談してなんとか乗り切ることができた。
ものづくりには、多くのトラブルが発生することを身をもって体験し、同時に自分たちの意欲と協力でそれを克服して成長した彼らに拍手を送りたいと思います。ご苦労様でした。 |

|