
2018年課題研究作品
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野球の試合の時に、ボール、ストライク、アウトのカウントを表示するBSOカウント表示板を作成した。野球のグラウンドで使用するとなると日中の太陽光線下で見えることが条件となるため、表示部は超高輝度LEDを使用して作成することとした。 |
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1.グラウンドでの視認性の確認と回路の設計 |
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発光ダイオードについて学習し、その駆動回路や電流制限抵抗の設計計算と駆動方式を学習した後、昨年まで使用していた高輝度LED で表示ユニットの試作品(直径60mm
LED52 個)を作り、グラウンドで見え方をチェックした。その結果、・試作品の大きさでは、やや見にくい・輝度ももう少し明るい方がよい。ということが判明したため、製作する表示ユニットは、さらに明るい超高輝度LEDを61
個使用した直径70mmとすることにした。
表示ユニットはボール(B)、ストライク(S)、アウト(O)をそれぞれ緑、 黄、赤の3色にすることにしたが、色によって超高輝度LED
の定格が異なっていた。そのうち黄と赤の定格電圧は同じだが、緑は大きく異なるため、別々に設計計算を行った。 |
2.表示ユニットとコントローラの製作 |
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表示ユニットの製作は7人がそれぞれ1枚ずつ責任を持って担当した。エッチングで作成したプリント基板のハンダ付け部分のグリーンレジストをはぎ取ってハンダ付けしやすくするフラックスを塗布したあと、1回路ごとにLEDをハンダ付けをして点灯確認をしながら61個のLEDをハンダ付けした。
コントローラーと表示部の両方にPIC を搭載することによって、PIC の通信機能を使い電線数を電源2本と通信2本の4本にすることができた。また、3ストライクで自動的にアウトカウントを+1してストライクカウントとボールカウントをリセットすることや押し間違えをしてもバックボタンで戻れるといった機能を付加することができた。
表示ユニット、電源、PIC 基板、コントローラーを仮結線して、動作を確認した。 |
3.ポリスチレンフォーム遮光板の製作 |
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LED は輝度が高く指向性も強いので前面に乳白色のぼかしシートを入れて光を拡散させることにより、光を和らげ広角な視野とするが、そのために○の形がぼやけてしまうのを防ぐため、ポリスチレンフォームのボードを○の形にくりぬいて黒色に塗装したものをLED
の周りに設置することによりシャープな○形に見える様にした。
また、このポリスチレンフォームは同時に前面のパネルを支える構造材も兼ねている。 |
4.表示板の製作 |
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基台としてアルミ複合板を使用した。アルミ接合板はプラスチック樹脂をアルミ板でサンドした構造のもので、アクリル板に比べて加工しやすく静電気の発生も抑えら れるもので看板に利用されている材料である。これを寸法に合わせて切断し、前面に使用する透明アクリル板も同様に切断した。
次に20mm ✕ 100mm に切断した低発泡塩ビ板を3枚重ね貼りして作った絶縁スペーサーを基台に貼り付け、PIC 基板、各自が製作した表示ユニット、電源基板等に合わせて整形を施した後、各基板を取り付けて配線を行った。結線終了後に再度テスト動作を行って配線に誤りやミスの無いことを確認した |
5.アルミ枠の製作 |
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アルミの不等辺アングルを切断して外枠および内枠を製作した。外枠は45 ゚に切断し、ねじ穴を開けたあと超強力接着剤で接着し、サンドペーパーによる研磨と黒色塗装を行ない、最後に壁掛け用のアイボルトの装着と自立用の回転足を装着した。
内枠は、外枠とのねじ止め用にリベットナットを装着したあと、基台にネジ止めした。 |
6.最終組立 |
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前面パネルの透明アクリル板と基台の間に空間があると表示板の強度が下がるので、ボール等が当たっても割れたりしないように空間にポリスチレン材を入れて全体の強度の補強を行った。
透明アクリル板の表面に、BSOユニットの表示部分だけ丸い穴の開いた耐候性に優れた看板用の黒のカバーシートを貼って表示部以外を見えなくし、各表示部分に白の「B」「S」「O」の文字シートを貼り、最後に全員で外枠をネジ止めをして完成した。 |
7.グラウンドでの試運転 |
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2月17日にグラウンドで卒業生と在校生の対抗戦が行われたので、BSO カウント表示板の試運転を兼ねたお披露目を行った。外野からでもはっきりとカウントを認識することができ、後輩たちからの評価も上々であった。 |
毎年、LEDを使った実用品を製作してきたが今年はなかなか思いつくものがなかったため、生徒諸君に何かアイディアがないか尋ねたところ、野球部の生徒から「野球のBSO のカウントを表示する表示板を作りたい」との提案があった。野球の試合で使うということは日中のグラウンドでの使用となる。はたしてそれだけの視認性が得られるのか心配だったが、生徒諸君と試作品を持ってグラウンドで確認したところ、外野からでも視認できるとのことだったので安心して製作に入ることができた。
集まったメンバーは、世話になった野球部に感謝の印を残したい野球部員5名と3年間学習した内容を活かして実用品のものづくりをしてみたいという2名の7名であった。製作が始まった頃は、雑な作業が多くて何度か「丁寧に」と注意をすることも多く、また慣れない作業ということもあって、かなり苦労していたようであったが、慣れてくるに従って、お互いに注意したり助け合ったりのチームワークが機能するようになり、また、お互いの得意分野を活かした分業もスムーズに行われるようになり、最終的にはこちらの予想よりかなり早く作業が終了し完成させることができた。
生徒諸君の感想を読んでいると、工夫することの面白さ、完成したときの充実感などものづくりの本質に気づいているものも多い。ぜひ、今後社会に出てからも今の気持ちを大切にしていって欲しいと思います。 |
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