いつものことではございますが。この文章には資料的価値はございません。ただの「SF大会参加しちゃったよ
自慢」としてお読み下さい。

 さて今年は、2003年の大会と同じ会場だった。前の時は東京駅からのバスツアーを使ったが、どうにも時
間が合わないので夜行バスを選択。夜行バスの発着所の案内が午後6時までとはどういうことか。
 あまり眠れなかったけれども何故か元気に宇都宮駅で鉄道に乗り換える。うんまあ一人ぐらいはいるだろうと
思った。だが、ロングシートの真向かいに座った人が「創作講座」のテキスト「でならひ草紙」読んでるとは思
わなかった。あと「ガンダムって絵柄古くさいよなー」「爆発の色がピンクってありえないよなー」などと言っ
ていた男子高校生を会場に引きずって行きたくなったりもしているうちに、最寄り駅に到着した。
 ここからは会場が出している送迎バスだ。時間があったので、待合室に行った。チェックインに必要なは
がきをファイルから取り出したり、プログレスレポートのプリントアウトをながめたりしている方々がうろうろと。
この時点では、妙な距離をお互いとって座っているので会話はない。だが、バスに乗ると、馴染みの顔を発見し
たり、周囲の目を気にせずにすむようになったりといったことがあるためか、大会についてや、小説について等
談笑する声が聞こえてくる。もうすぐだ、という気になった。
 到着して手続きをすませ、部屋に荷物をおいて、寝不足がこたえてだるい身体をどうにかするためにラウンジ
にコーヒーを飲みに行った。座り心地のいい椅子で、普段よりも砂糖を多めにいれたものをのんでいるうちに
多少回復した。ついでに、プログラムブックを開いてスケジュール等を確認する。うんいつも通りの企画から
「なんだこれ」ものまで色々と楽しみだ。ただ、ひとつ気になったのがゲストメッセージに柴野拓美氏のものが
なかったことだ。体調等いかがなのだろうか。  そうこうしているうちに企画開始時間になったので、企画部屋へ。さて今年も始まりです。


 「ライトノベル四方山話」
お隣が偶然笹本裕一氏だった。それはいいが、色々興味深いお話が聞けたけれども、
「僕が言ったって言わないでください」。
あー。確かにネット上で拡大解釈されて広まると目も当てられないから。ただ、最近の若い子達(……)の
文章読解力はそこまで落ちてるんだろうかと思った。個人差が激しいと思うが。


 色々そこまでかと思ったり大笑いしたりしたあとは、ディーラーズルームで散財した。他の同人誌即売会
でお会いした方との会話なども楽しむ。今年は書店の出張販売がなかった。地方でしかも市街地を離れると
来にくいかも。売上が出費に見合うとも限らないし。

 さてまだ時間はあったのでバー「貴腐人」にいって白衣ドクターとの会話でも楽しむかーと思ったらTV取材が
入っていた。可能性は少ないと思うが、身内バレは避けたいので退避。他にも色々企画はあるのに何でより
によってあそこだと思ったが、冷静になって考えると映像的にいちばんインパクトがある。メイド喫茶が話題にも
なったことでもあるし。
 そういうわけで「手作り立体映像とプラネタリウム」。ポリ袋をつなぎ合わせてつくった、十人は入れる
かどうかという大きさのドームに、扇風機で空気を送り込んでいるもの。まさしく手作り感。のたのたと這
って入る。(後ろにいらしたかたすみません)
 プラネタリウムの投影機は、鍋(ボウル?)を二つ貼り合わせて穴を開けたものだった。それでちゃんと
星座の位置など作れてしまうところは逆に制作者さんがすごいと思う。
 内容は普通に星座の紹介などだったが、北斗の添え星をナチュラルに「死兆星」と言わないでください。
うっかり「あーあれね」とスルーしかけたではないですか。
 星座紹介のあとは、赤青フィルム眼鏡で立体映像。イトカワや人工衛星はよろしいがやはりエンタープライズ
とかデススターとか。SF大会仕様なのか、ほかのところでもやっていらっしゃるのかが気になった。

 短い企画なので、さてTV取材は終わっているかなとバー貴腐人にいってみたところ、スタッフらしき方々
はいたが、全体を撮影しているような様子はなかった。あらためて案内を見ると、ドクターとしっかり会話を楽しむ
コースと、それを眺めて楽しむコースがあった。会話を楽しめるほどの素養はないので、後者を選ぶ。
さて、と昼間からカクテルメニューを見た。カンパリオレンジが「レッドスター」になっていた。その他の
カクテルもそれらしい名前になっている。ははは。
 偶然同席になった方と楽しく会話。普段出来ない類の会話が出来るのもまたSF大会の醍醐味だ。

 時間になったので、星雲賞授賞式に。結果については既に様々なところで発表されていると思われるので割愛
させていただきます。副賞は「SFの根源的な問題に立ち返る」ということで一辺2.3メートルの大風呂敷でした。
 2003年の大会で、(たいそうどうでもよろしいが、何故私のATOKは「たいかい」の変換候補に「大会
浴衣キルン屋」をだすのだ)ラメジャケットを着て登場し、暗黒星雲賞を受賞なさったホテルの方が、今度は自前で
銀ラメジャケットを用意なさって登場。ただし、こちらのホテルは退職されて郷里のホテルを手伝っておら
れるそうだ。どういう扱いで参加なさったのかは知らないが、余程印象深かったのだろうか。うんまあいろ
んな意味で印象深いだろうけど。  
今回とくに面白かったのは、コミック部門がサンフランシスコのアニメコンベンションにゲストオブオナーで
出席中、メディア部門がフランスのジャパンエキスポ、テッド・チャン氏が韓国の映画イベントで来場不可
ということだった。残念と言おうかなんと言おうか。
 伊藤計劃氏のお母様のスピーチには少し涙が出ました。

 同じ部屋で気楽な立食スタイルのウェルカムパーティ。自分でつくらなくていいごはんはおいしいなあ。
 いつもどおりさくさくと食べ物が消えていく。ホテルの方も右往左往。冷麺が欲しくなったので、並んで
待っていると、ちょうどテーブルにあったぶんが切れた。他のたべものも少なくなっており、ホテルスタッ
フの方々がさらに右往左往。冷房が効いているのに、見てわかるほど汗だくになっていた。そのうち、指揮
をとっていらっしゃるらしい方がネクタイを外してタオルをねじりはちまきにした。
 周囲から「あの人に暗黒星雲賞あげたい」という声が聞こえた。私も差し上げたかった。
 パーティであるからには余興もある。前回もあったまぐろ解体もよかったが、今回はひとつ加わっていた。
企画でもあったらしいが、「あの肉」。多分、大腿骨とかそのあたりの、太くて長く、両端に関節がついている
骨の周りに肉が付いているあれだ。(ギャートルズの肉と言えば手っ取り早いか)食べられなかったものの、
骨だけは見られた。うん「2001年」。
 テーブルでご一緒した方々とも色々お話ししていただけて、楽しく時間を過ごすことが出来た。

 パーティのあとは「ファンタジーをまったり語る部屋 ファンタジーにおける魔法について」。
 お題は「あたしと魔女の扉」だった。運良く読んでいた。魔法を使えば早世し、使わなければ精神に異常
を来すやっかいな血筋の少女の物語だ。
 作者がファンタジーを読んで育った人でなく、ティプトリーの影響が強いためか、トールキン以来の伝統
である光と闇の対立が物語のなかにない。また、魔法が地下資源やお金のように有限なものとして描かれて
いる。
その他にも、描くのが家庭内の問題であり(世界の有り様や対立などない)、エヴァンゲリオン的十代の世界
であると指摘された。
 トールキン系が否定されるのはハリーポッター以来であり、ティーンズ向けに簡単に書くことが推奨され
るようになったそうだ。90年から97年はジャパニメーション、97年からはハリーポッターの影響が大
きいらしい。この作品はそれの典型だそうだ。小学校高学年から中学校にかけてちょっと背伸びした本読んでみるのも
いい体験だと思うんだが。うっかりはまって周囲と協調とれなくなって人生踏み外すのもそれはそれであり。
ららら。
 その後、日本では吸血鬼と少女とのロマンスが受けないという話になった。とくに若い人には、吸血鬼の
恋愛というと同性愛というイメージがあるらしい。公募の文章では9割方同性ものだったそうだ。
 また、作者の方がティプトリーの影響を受けているという話になり、ティプトリー作品の、男から静止を
もらって女だけで関係を完結させる作品と似ているという話題もあった。
 類似と言うことでは、自由自在に超能力を使う点で乙一にも似ているらしい。
 最近の超能力ものでは、超能力そのものを描くことは少なく、いかに制限するかが多いそうだ。
 このあとは、中島梓・栗本薫論へと話が流れていった。

 栗本薫氏と言えばグイン・サーガだ。その初代カバー絵担当は加藤直之氏。今回、等身大グインの絵をそ
の場で書いていく企画があった。部屋でなく、フロアでだが、通るたびに眺めていた。「肌色の塊」がだんだんと
「豹頭の戦士」になっていく。や、貴重なもの見させていただきました。
 ちなみにその等身大グインの横に、身長158センチの私が立つとちょうど頭がウエストあたりだった。。

 さてまったりと「浪花愛ワールド「酒」と「コドモ」と「ケモノ」 」。
 文字通りまったりとペットやお酒の話をする部屋。色々失礼申し訳ございませんでした。
 マウスをかなりの数飼ってらっしゃるそうだ。で、雄を複数一緒にしておくと当然権力争いが始まる。が。
中には「俺出世とかよりもこっちの方がいい」と我関せずで回し車に延々乗り続ける個体もいるらしい。評して
曰く「オタクのDNA」。あああ身も蓋もない。
 ブルーベリー酒とツツジの香りのお酒はたいそう美味だった。

 この後の企画にも面白そうなものはあったが、眠気が勝ったので軽く風呂に入って就寝。

 眠いはずなのに早く目が覚めたので、朝風呂に行った。趣味を堪能した後は温泉でくつろぐ。宿泊大会は
いいなあ。さすがにディーラーズルームもほとんどのスペースが無人だったので、大広間の交流スペースのような
場所にいってみた。運がよければ軽食にもありつける。
 予想はしていたけれどもマグロ河岸の様相を呈していた。偶然ご一緒した方によると
「寝る部屋ある癖に、なんでかここで寝るんだよねえ」
趣味の会話のあげくに雑魚寝の楽しさもあるからね。修学旅行の枕投げというのか。
 部屋に戻ると、他の方々はまだ寝ていらしたので、薄明かりでディーラーズルーム戦利品に目を通して居
るうちに起きていらしたのでシール交換や雑談など。
 朝食時間になったので朝食会場に行った。スクランブルやソーセージはあったのにパンがない。なんてこ
ったいと思っていたが、お粥があったので飛びつく。梅干しと一緒に食べたが普段以上においしい。疲れて
いる時にはやっぱりお米。
 部屋に戻ると急に眠くなった。クロージングまで時間があるので、再び布団に潜り込んだ。途中ホテルの方が
布団を上げにいらしたが、他の方も眠ってらしたので帰っていただく。多分こういう部屋は多かっただろう。

 どうにか布団から抜け出て、荷物を仮設クロークに預けてからクロージングへ。
 いつもの通り各賞発表。暗黒星雲賞は岡部イサク氏。北朝鮮のミサイル関連で来られなかったことによる
らしい。北朝鮮にも投票があったっておいおいおい。
 あとプラネタリウムも受賞されていた。賞品は餃子の食品サンプル。
 センスオブジェンダー賞は「ヘルマフロディーテの太陽」。そして功労賞に栗本薫氏、しばらくの黙祷。
 等身大グインは、抽選により参加者に贈られていた。保存とか運搬とかどうするんだろう。加藤氏もライブで
描くことをとても楽しんでおられたようで、来年はパワードスーツを、といってらした。あれかなり大きかった
ような気が。
 大丈夫かなと思っていた来年も、東京での開催が正式に決定した。実行委員会の主なメンバーが女性でし
められているらしい。楽しみなことである。余談だが、帰りのバスの中で、「和歌山開催を以前計画していたけど、
交通手段のフェリー路線がなくなっちゃって」ということを耳にした。開いてーと自分勝手に思う近隣県在住。
 そして実行委員長のご挨拶で閉会。急場の決定・開催、スタッフの皆様本当にお疲れ様でした。

 そして帰り着いて飲みながら戦利品を楽しんだあげく翌日頭痛に悩まされるオチのついた大会でした。


 
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