この文章は非常にあやふやな記憶とメモをもとに構成されています。何らかの資料には決して使用なさ
いませんよう伏して御願い申し上げます。ただの「SF大会参加しちゃったよ自慢」として御笑覧下さい。
 
 今年は諸事情により気分が沈みがちだったけれども流石に年に一度のお祭り前になると楽しみになって
きた。第一次集合場所である東京駅までの足を確保、二日目に着る浴衣と小物の準備、スタッフ様差し入
れの買いだしと、直前準備も楽しい。また今回は自分のシールを作って交換し、百八枚集めようと言う企
画がある。交流できて良いアイデアだ。
 
 当日は、慣れない東京駅で迷っても大丈夫なように、集合時間のかなり前に着けるよう時間を設定して
おいた。正解だった。しっかり迷う。事前に調べておかなかった私も悪いが、最寄り出口ぐらい知らせて
くれてもいいと思う。某旅行社様。
 バスの中で手続きをすませる。ガイドブックその他配布物が、黒い大きめの鞄に入れられて渡された。
会場で持って歩くのに都合がよい。また、今回タイムテーブルと会場地図が団扇にプリントされていた。
これは非常に役に立った。
 
 会場に到着。すぐに部屋に向かい、同室の方々と外出の時の鍵の管理などをさっと打ち合わせる。普段
は非常に人見知りが激しいが、この場では仲間意識があるためか会話が進む。よいことである。
 
 オープニング会場は広い宴会場だったが、人が集まるにつれて手狭になってきた。そしてオープニング
が始まる前にゲストの方々からの一言。小松左京氏、柴野拓美氏、豊田有恒氏、田中光二氏、野田大元帥
等々例年のように豪華な顔ぶれだった。様々興味深い発言があったが印象が強かったのは小松左京氏の「S
Fは文学と科学技術とジョークを合わせたもの(大意)」という発言だった。
 そしてオープニングが無事に完成したアニメで始まった。かわいらしい女の子二人が会場のホテルでチ
ェイスしている。ホテルの従業員の方々の御感想を伺いたく。
 立食パーティ形式だったので野田大元帥が乾杯の音頭をとっておられた。出遅れたが最後食事を取り損
ねることは小倉での大会で経験済みなので取りあえずお蕎麦を確保してお腹に送り込んでおいた。私は苦
痛なしに食べられる程度であれば文句は言わない質なので味については何も言わない。マグロの解体があ
ったのでそこそこの内容なのではないだろうか。しかし立食パーティにあるまじき消費の早さに対応して
いたホテルスタッフの皆様お疲れさまです。なくなった料理もあり、「すぐにお持ちしますのでいましば
らくお待ち下さい」と係の方が連呼なさっていたそうだ。嗚呼。
 ホテルの側からも挨拶。登場された方が金銀のジャケットで参加者に大うけしていた。ポーランド国立
楽団の方によるバイオリンとピアノの生演奏も、ラピュタ、ルパン、999、アトムと参加者の嗜好にあ
わせたものだった。この大会のために、50曲ほど練習なさったそうだがこれからの演奏活動にはまず役
に立たないだろう。心底お疲れさまです。この後、他の時にはガンダムなども演奏なさっていたとか。
 アトムの演奏の後、アトムが意識だけをとばして大会に参加しに来た、という内容の放送が流された。
この大会のために作ったというのはすごいと思う。が、途中でタイムパトロールに邪魔されて帰っていた。
 なおアトム誕生の年と言うことで、アトムのためにハッピーバースデーが演奏され、アトムの形に作っ
たケーキが出されていた。取り損ねたが。
 オープニングはそんなこんなで無事終了。残った食事を前に、もったいない、いや普通のパーティに比
べれば異様な減り具合だという会話を隣の方と交わしつつ退場。
 
 一度部屋に戻ってから企画巡りを始める。
 最初は「語れ!学研の科学は世界一」に行く。「学研の科学」の付録についての企画。主催の方が、七
十年代前半の付録実物を持参しておられた。カブトエビ飼育キットに科学実験セット科学捜査セットにラ
ジオ、水栽培、いや懐かしい。私が覚えているのはカブトエビ飼育キットぐらいだったが、他のものも実
物を見ると「あったあったこれ」と思い出す。とくに蟻の巣を観察するものとカブトエビはどの世代でも
あるようだ。だが微妙に年代によって巣箱の形などが違うらしい。蟻の巣を土ではなく砂糖で作ったとい
うかたもいらっしゃった。最後には巣を作らなくなって死んでしまったそうだ。
 回顧の話ばかりではなかった。未来の付録を考えてみよう、という話もあった。将来無重力な空間に居
住する場合、重力に発芽システムを頼っている種は使えないが水栽培セットはどうするのか、など。それ
用に品種改良もしくは人工重力発生セットをつける、など。その人工重力発生装置は実は懐かしいバケツ
ぶん回しにするようだ。楽しい。その会話の過程で、実際に回転によって重力環境の変化を実験している
研究室があると言う話もでた。
 その他、「光通信で他の島宇宙と話してみよう(何年かかる?)」や「宇宙生物育成セット(十二時以
降に餌をやってはいけません)」「ペットボトルロケットで大陸間弾道ミサイル(作るときには国連に相
談しよう)」「突然変異セット」等笑わせてもらった。あと実際に興味深かったのは、学習雑誌の付録の
研究が使い捨てカメラの発明に繋がったと言う話だった。
 付録でなく本誌の話では昔石森章太郎氏が漫画を書いておられた話など面白かった。あと最近のものに
「小松左京原案・一本木蛮作画」が掲載されているらしい。「小松左京博士は昔日本を沈めたらしい」学
研編集部には確実に「いる」、という話になった。最後に隣の方に「SFファン編集「科学」ってどうで
しょう」といったら非常に嫌がられた。だがあさりよしとお氏など執筆しておられることでもあるし。ま
た、カブトエビのキットに卵が残っており、また孵化までに必要な時間が四十時間であったため、川の水
とエビアン、温泉で育てる実験が行われる運びとなった。何らかの形で報告されるはずだったが少なくと
も私は見かけなかった。御存知の方はお知らせ下さい。
 
 「怖い話をしよう」都市伝説のについての企画。まずは都市伝説の定義から始まる。この場で言う都市
伝説とは子供の間で流布する、口裂け女などの名前の付いた妖怪の登場する「現代怪談」は省いている。
例としては某ハンバーガーの材料の件など。また、他人からの伝聞で、本人体験がないということもあげ
られる。
 今回は都市伝説の紹介よりは、その伝説が発生する意味についての考察だった。
 某ハンバーガーのミミズ混入事件については、実際に価格を調べてみると牛肉の方が安いので、価格維
持のために混ぜることはないらしい。これなどは、あのような値段で作れるはずがないという差別感・偏
見がバックにあるのではという話になっていた。また、新聞や教科書、つまり権威的なものが取り上げた
ので事実とみなされて広まることもある。「レンジで猫を乾かした」のはその典型的な例証と発表された。
これについては一度否定した某新聞が何年後かには事実として記事にしていた。この件に関する裁判記録
などはどこを探しても見つからないらしい。しかし教科書が取り上げているとは。教科書検定の意味はど
こに。
 その他死体洗いのアルバイト(現実にホルマリンやアルコールを満たしたプールがある場所で作業をし
たら危険)は死体に関わる仕事である医療への偏見、サブリミナル効果には無意識にたいする恐怖感、海
外の更衣室での女性誘拐には女性が一人旅をすることへの警鐘があるという。
 どのような話でもひとまずは冷静になって聞くことが大切という話か。だが、現実に飲み会などで盛り
上がっている最中に、その話はこれこれこうだからあり得ないなどと言ったら確実に嫌われ者だろう。表
面同意しつつ腹の中で馬鹿にしていることとどちらが嫌な人間かはさておき。大変どうでもよろしいが、
「ベッドの下に鎌を持った男」の話は一人の旅先で夜中にふと思い出すと理屈抜きで怖くないですかそう
ですか。
 
 「ロードオブザリング字幕の裏話」は一応「ここだけの話」だったので割愛させていただく。ええ一応。
 
 
 一日目の企画はこれで終了だったので一旦寝部屋に戻って風呂の支度。うきうきと大浴場に向かうと閉
まっている。それでは、と露天風呂に行くと混浴だったので撤退。翌日朝風呂に決めた。後からもう一棟
の方にも風呂があったことに気づく。事前の準備は抜かりなく。
 二日目の朝は、入浴と朝食を済ませても企画に間に合う時間に奇跡的に起きられた。風呂は、まあ普通
の大浴場だった。土産物コーナーで売っている炭入り(?)石鹸が備え付けられているのは全国的な傾向
なのだろうか。大抵の旅館で見かけるような気がするが。朝食はバイキング。が、洋食より和食中心だっ
た。洋風の卵料理も紅茶もない。まあ旅館なのでそれで当然なのかもしれないが。この席でもピアノとバ
イオリンの生演奏あり。お疲れ様です。部屋に帰って持ってきていた浴衣の着付け。まだ下手です。
 
 ジェンダーSF研究会の「文学とコスプレカルチャーの間」。直前でパネラーの方が変わってしまった
そうで、どちらかというと体験談になった。
 コスプレの広がった経緯としてはSF大会からコミケ、風俗らしい。小谷真里氏が七十八年にSF大会
で初めて火星シリーズのタビアのコスプレをされた当時はまだ異端扱いで、氏の参加されていた「ローラ
リアス」が「仮装変態集団」呼ばわりされたという逸話もあった。女性のコスプレよりも男性の方が、す
ることにたいして抵抗があったそうだ。また他の方のコスプレの体験では、九十年代では既に周囲から非
難などはなかった、周囲に合わせているだけで結婚式に振り袖を着ていくようなものと言う意見もあった。
 世界大会の方では、ビッグネームファンとして有名なF・J・アッカーマンのスーパーマンのものが最
初らしい。ものすごい美青年であったそうだ。意外なものとしてはクラークが半魚人の姿で会場を練り歩
いていた、など。なおこの話題の時ゲストの方二人が声をそろえて(ハインラインならともかくも、と
いう文脈で)「悪徳なんかこわくない」と言っていたのが印象に残っている。
 コスプレの異化作用がちらりと話題になっていた。
 
 同じくジェンダーSF研究会のSence of Gender賞選考発表。今年は大荒れだったそうだ。
 オープニングやエンディングで受賞作を発表するだけでなく、選考にいたる過程を発表し、また選考委
員に男性を含めることは視点の複数化ということでとてもいい案であると思う。これはまた別筋の話で出
ていたことだったが、フェミニズムSFは男性の視点とは違う世界、違う視点からみた世界を描くものと
いうものである、とされていた。その観点から見るならばあまりに女性からの視点にこだわって男性禁止
になることもまた逆差別になりかねないと思う。
 ハードSFは偶然ジェンダーSFになることもある、という話題があった。ハードものは論理を第一と
して進むので偏見をすっ飛ばし、それが故に既存ジェンダーから結果として自由になるということ。これ
こそ読み手の問題、なのではないだろうか。読み手がどこに重点を置くかによって作品が違ったものにな
ることはよくあるが、個人的にはそれは読者の自由だと思う。一つの読み方しか許さないと言うのでは、
それこそ硬直した価値観の現れだろう。また、違った視点から見られない作品というのは私はあまり面白
くない。ある目的に特化して描くのもまた職人芸だとは思うが。
 また、ジェンダーSFを、男性がジェンダーについて勉強して書く事に対してアメリカで議論があった
そうだ。男性の既存の視点で書くことに意義はあるか、という論点だったらしい。それはそれで別の視点
から見ていると思うのだが。
 あと興味深いこととして、規範からはずれたことが病気であるか否かと言う判断に政治的な力が働く、
という話題があった。アメリカの話で、性の揺らぎは精神病とされるが同性愛は違う扱いを受けるように
なったのは、同性愛者の発言力が強くなったからでロビー活動も起こってからのことらしい。故に、その
他SMなども、もし声が大きくなってそれなりの力を持つようになれば…と言う話。まあ、結果的にはよ
ろしいことなのでしょうが。精神病がマイナスのイメージと言うことか?何の脈絡もないけれども例のレ
イプは元気があって云々発言の議員はその後処分なりなんなりあったのであろか。あと、着ていた和服
を褒められる。ここで言っても意味がないが、いきなり妙なことを話しかけた野田様、失礼いたしました。
 受賞は「宇宙生命図鑑」。おめでとうございます。賞の詳しいことについてはジェンダーSF研究会の
サイトにアップされていますのでそちらをどうぞ。
 
 このあとは興味のある企画がなかったのでディーラーズルーム巡りをした。無人店舗にしてあるサーク
ルが多く、大丈夫かと感じた。だが店番をするのぽぽん(というぬいぐるみ)がらぼりー。このサークル
さんのところに、懐かしい、一枚の紙に切れ目を入れた八ページのミニ冊子があった。思えば中学生や
高校生の頃はオフセット本なんぞ高嶺の花だった。購入物は、宇宙塵最新号、PARADOX FINA
L、PROGRESSIVE様の「翼人世界記」三、四巻、その他チラシ。ここでも和服に目をとめられ
た。
 遊コンT3の部屋(喫茶室のようなところ)で信仰対象になっているミニチュアモノリスを発見して一
人でけたけたと笑い、適当な席に落ち着いて収穫物を読む。と、和服を着たスタッフの方がとことこと来られた。
 長くなるので割愛するが、私が浴衣だと思い、下に肌襦袢と裾除けのみで着ていたものが、実は紬であ
るということだった。無知は怖い。それは知っている人から見たら血の気が引く行為だろう。この品を浴
衣にするのは、大層粋なことではあるけれども…。という御意見をいただいた。。
 後日、汗を多少かいたので呉服屋に持ち込んだ。そのとき、「もらい物で三十年ぐらい前のもの(実際
母の嫁入り道具)だがどういうものなのか分からないか」と言ったところ、
「越後の十日町紬」
と答えが返ってきた。本当に無知とは怖い。皆様のご自宅で箪笥の奥に和服がございましたら、一度総点
検をお勧めいたします。
 その騒動も終わってまったりしていると、ラジカセを持っている方達が登場。
「ラジオ体操の時間です」
和服では出来ないので隅で見ていたが、皆さん覚えているものだ。ちゃんちゃんらちゃっちゃちゃちゃ〜。
どなたか一度、観光シーズンに海外の国際空港であの音楽をかけてどのくらいの日本人が反応するか実験
して下さらないものか。
 
 部屋に戻って着替え、「机上理論学会発表会」に。
 世の中の様々な事象を我流に解釈していく、といえばいいのか。ルールは「最後にオチをつけること」
のみ。この会場で取り上げられたものを例にする。
 童謡・童話の桃太郎だが、犬や猿、キジが鬼退治に赴く代償としてきび団子をもらう。しかし、鬼退治
の代償としてはきび団子は理不尽ではないか……という前提で話を転がしていく。
 真剣にふざける企画である(非常な褒め言葉)。学生時代によくこういう馬鹿話(しつこいが褒め言葉)
はしていたなあと懐かしく思い出す。冊子も出していらっしゃるので機会がございましたらぜひどうぞ。
 
 全員参加企画「SFセンター試験」。手近の企画部屋に入って問題用紙と解答用紙、特製ボールペンを
受け取る。センターというとHBの鉛筆を用意したくなるのは悲しい習性。二十分で百問、四択は分かっ
ている人でもきつくないだろうか。
 結果は……まあ一般人の証明ということで。しかし一問目の、華氏を摂氏に直した引っかけ問題は悔し
かった。終了直前におかしいと思ったのだが。
 
 そして星雲賞・ファンジン大賞授賞式及び受賞パーティー。本来はこのために浴衣を持ってきたのだが
汚されると怖いのでジーンズで出席した。少し残念だが紬と分かって多人数の立食パーティーに着る度胸
はない。
 過去の受賞者の方々からのコメントのあと発表。副賞は「火星の土地」オリンピア山近くの一エーカー
という豪華なものだった。受賞結果は以下。
日本短編 「おれはミサイル」
日本長編 「太陽の簒奪者」
海外短編 「ルミナス」
海外長編 「イリーガル・エイリアン」
メディア 「ほしのこえ」
コミック 「クロノアイズ」
アート  新海 誠氏
ノンフィクション 「宇宙へのパスポート」
自由   出渕裕デザインの人間型ロボットHRPー2最終成果機
 皆様おめでとうございます。
コミック部門で某作品が受賞しなかったことにほっとした(暴言)。コメントはそれぞれだったが、自由
部門のコメントビデオで、ロボットが正座してお辞儀し、立ち上がった光景には驚いた。周囲からも拍手
が起きていた。何故か嬉しい。
 今回星雲賞投票者には、抽選でグッズが当たる特典があった。当たりました。「星雲賞を決めたのは私
…の1票」と書いてあるカンバッジと、ロゴ入りしおりのセットだった。嬉しい。が日常周囲にわかる人
間がいない。
 SFファンジン大賞と柴野拓美賞については、非常に申し訳ないのですがメモが不完全のため割愛いた
します。間違いがあっても失礼ですので。
 さてこのパーティではコスプレコンテストの「小谷杯」も開催された。自身コスプレしていらっしゃる
審査員の方々が会場を巡り、シールを貼ってその枚数で決める形式だった。面白かったのは「マトリック
ス」のトリニティとスミスズ。つまり黒服サングラスがぞろぞろと。おもしろ怖かった。途中会場内を
走り回って映画の一場面を演じるパフォーマンスもあり非常に受けていた。その他「ファイブスタースト
ーリーズ」のミラージュナイツ(御本人曰く「パナウェーブにあらず」)やアーサー王、「ヒカルの碁」
の佐為もあり、見ている方も楽しかった。
 なお優勝は、「千と千尋の神隠し」のハクをしていたお子さんだった。可愛い可愛い。
 例のごとく食物が異様な減少っぷりをみせ無事終了。ホテルスタッフの皆様本当にお疲れさまでした。
 
お腹が程良くふくれたところで「異世界の構築 その自由と制約」に行く。作家の方々の意見を聞きたか
ったのだが。すみません半分寝てました。前日からの疲れが一気に来たのだろう。
 異世界の描写において、細かいところにひっかかりすぎると進められないという言葉が出ていたがとて
も身に染みる。だがいきなり現実世界での用語をだしても興ざめなので難しいところだ。「小説を書く」
というよりもその行為をとおして「世界を描きたい」という意見もあり、それはそれでわかる気がする。
 気になったのが、現実を舞台にすると逆に規制が厳しいという話だった。きっちりと合わせなくてはな
らないということもだが、差別用語の問題だった。それはまあ当事者の方々にしてみれば不愉快だろうけ
ども。ことに商業誌では気を付けねばならないのだろう。
 
 終わった後も気になる企画はあったが、行ってもまた眠ってしまうと主催の方に失礼なのでお風呂に入
って就寝。エレベータの中でスタッフの方と一緒になる。まだ仕事ですか、と尋ねるともう寝る、と宣言
して抜けてきた、と返事があった。ご無理はなさらずに。と言っても人手不足なのだろう。
普段は午後十一時などというと宵の口なのだが、布団にはいるとするりと眠れた。
 朝には弱いのだが、緊張感があるのかだいたいの時間には目覚めた。のんびりと朝食をとり、グランド
フィナーレの時間まで同室の方々と雑談に花を咲かせる。朝風呂を楽しんでいらした方によると、湯船の
中で沈みそうになっていた方がいらしたそうだ。ぶくぶく。笑っていたが自分も以前大会の時、サウナで
寝そうになったことがあるなどというのは言わなければわからない事実であって(危険)。
 
 仮クロークに荷物を預けてグランドフィナーレに参加する。地球・海洋SFのオールタイムベスト投票
結果や暗黒星雲賞、次回大会の紹介など。暗黒星雲賞で会場のホテルが賞をとり、コメントを述べようと
したホテルの方が、涙ぐんで何も言えない状況になっていたことが印象に残っている。ホテルのスタッフ
の方々、本当にありがとうございました。
 シールコレクション百八枚になった方の紹介もあり、小学生ぐらいの男の子が四冊分集めていた。大会
中から噂になっていた子ではあったが。コメントは
「四回も煩悩王になるとは思わなかった」
だった。将来が楽しみだ。
 そしてまた来年、と解散していく。来年参加できる状況にあるかどうかはわからないが、出来うる限り
参加したい。
 ドリンク剤の空瓶で山を作っていたスタッフの皆様、お疲れさまでした。
                       山森 衛
          

SF大会その他外出記