オフ会開催の話が出た時点で参加を表明する。半引きこもりにしてはスタートダッシュが早かった。
 結局お役には立てなかったものの宿泊地探しに参加してそれなりに積極的である。
 
 夜行バスが手配できず新幹線利用。チャットで行程を確認しつつ思うことは
「路線の多い地域なんて嫌いだ」
普段私鉄が一社とJRの交通機関で生きている人間にはわけわかりません。どうにか見当をつけ、後で鉄
野道子(仮名)ちゃんに確認するとOKが出た。やれやれである。
 ネタを仕込み切符を手に入れ荷造り、と準備を進めていると実感が湧いてくる。
 
 当日朝は始発利用。五時に窓を開けると馴染みの猫が
「うなー(めしー)」
お前はどこで寝ておるか。
 最寄り駅から新幹線の駅までは指定券が取れたが、名古屋から品川までは自由席である。最寄り駅での
人出を見て不安になったが、望外に禁煙席に座れた。
 無事品川に到着した時点で残り時間がやや不安に。電車の中で走りたくなる。結局五分ほど遅刻。すみ
ません。
 
 そんなこんなでルーン講座会場に集団移動。神社の境内を突っ切っていくのは笑える。
 主催の出版社ビネパル出版様はこぢんまりとしたてづくりの雰囲気のある会社だった。その一室で一橋
大学の方によるルーンについての講義を受ける。
 初歩的な内容ではあったが、ルーンは基本的に「文字」であって呪具ではないと確認する。少なくとも
考古学上で扱う資料においては。異教起源であり、アルファベットに取って代わられて、その知識を持つ
人間が少なくなっていったことから神秘的な性格を帯びていったらしい。アイスランドで魔女狩りの対象
となったのが男性であるのも、ルーンを知っていたのが教養層=男性であったことに起因するようだ。
実際に当時の人がどのような意識を持って使っていたかを知ることが大切である。いちばん難しいけどね。
 質疑応答の時間には参加者それぞれの立場からみた質問が出て興味深かった。サガの邦訳の予定やルー
ンとセイズの違いについてなど。(個人的には男がセイズ魔法を行うと非難されるというのは性的転換の
為であると思っています。シャリヴァリのように。私信)
 サガの邦訳予定はしばらくなさそうである。この出版大不況の中売れない本を出すゆとりはどこの出版
社にもないだろう。真に必要な人は外国語でそのまま読んでしまうということもある。
 自分が質問したのは「司教パールのサガにおける司教の賛辞が異教時代のゴジへのそれと変化がないよ
うな気がするがいかがか」でした。「あまりに聖職者として熱心なひとだとうまくいかない」との返答だ
った。成る程。
 終了後は蜜酒の試飲会が行われた。蜜から作るだけあって甘く癖が強いが氷をいれると美味しく飲めた。
文章は上達していないもよう。
 昼食が終了してから日比谷公園のルーン石碑を見にいく。日比谷公園は古いところなのか、年代物の樹
が生い茂っていて非常に気持ちがよい。
 石碑は実際にあるものを模し、文章は現代のものを彫りつけてある。もう少し年月が経って古びれば
雰囲気も出ると思う。ローマ数字が彫ってあったりといくらか難はあるものの、取りあえずの雰囲気は
楽しめるだろう。
 そしてビネパル出版様の講師の北欧人さんと「この樹は木登りによさそうだ」という会話を交わす。
お名前をレゴラスさんとおっしゃる。姓だそうだがよくある名前なのだろうか。あちこちで指輪物語指輪
物語言われているのだろうと推測する。
 どうでもよろしいが、北欧の民族の仲についてレゴラスさんは「肯定しないが否定もしない」実
に日本人的な受け答えをしておいででしたよ。流石日本人相手の講師でいらっしゃる。
 
 このあとデンマーク料理レストランに行って軽食。ヨーロッパのパンは噛みごたえと風味があって非常
によろしい。私好み。チーズも美味だった。でもシュールストレーミングはない。残念だ。出されても困
るが一度ぐらいは見てみたい。
 その他魚料理も出ていたようだが私は食せず。某氏が頼んでおられたチョコレートケーキは美味しそう
だった。黒みがかったベリーを実は食べてみたかった(ベリー類好物)。北欧ではベリー類はよくとれる
のだろうか。日本の干し柿のようなかんじで保存食になっていたりするかも。
 食事というより会話をしにいったのだが雰囲気はよい店だった。
 
 その後出版社の方やレゴラスさんとはお別れして、カラオケで時間をつぶした。歌わずに片隅で歴史談
義。外国語の資料がやりとりされるあたり流石である。歌われているものに某ギリシア神話格闘漫画が。
懐かしいねえ。
 その後夕食会のため渋谷駅で待ち合わせた。
まあ相変わらずな人の多さで。自衛隊派遣決定の時には巨大スクリーン三面にPR映像が流れたという
話を聞く。いや逆にみてみたいわそれ。
 携帯電話が威力を発揮して集合完了。エジプト料理店に移動する。
混雑の中での集団移動は土地勘のない人間にとっては結構な難事業である。ひたすら先頭を歩く人に遅れ
ないようにしていた。いやほんとに服掴んで歩きたかったですよ。案内役さんはさらに気を遣っておられ
ただろう。
 
 会場は地下のこぢんまりとしたお店だった。壁のあちこちにエジプト風の像などが飾ってある。カウン
ター席もあり、居心地は良い。
 全員に飲み物が行き渡ったところで乾杯。温かいハイビスカスティーは酸味が丁度良かった。ゲームの
話や、日本のレタスやトマトとエジプトのものの差などの話に興じる。エジプトのレタスは結球しない種
なのだそうだ。葉ぼたんのようなものか?そして初めてのRPGが「俺の屍を越えてゆけ」だと言ったら
笑われた。やっぱり。
 料理は思ったよりも辛くなかった。レンズ豆のスープはとろみがあった。私は美味しくいただいたが、
人によってはその食感が苦手かもしれない、平たい種なしパンは単品で大丈夫なほどの好物。
 食事も順調に進んでいたが、二種目のカレーを食べた後。
「すみませんハイビスカスティーの冷たいの下さい」
後からじんわりと効いてくる辛さだった。店主さんが
「大盛り」
と笑いながらおおぶりのグラスで出してくれた。その後同じテーブルにいた方々もやはり飲み物の追加を
注文し、これもまた「大盛り」のグラスだった。よく心得ておいでだとは思うが警告はして欲しかったと
思わなくもなく。
 和やかに食事会も終わり、席が離れていた某精霊様に挨拶。ついでに映画版指輪物語におけるエオウィ
ンの葬送歌とベオウルフとの関連について質問すると、引用されたわけでなく参考にした、とのことだっ
た。謎は一つ解けた。
 帰り際にレストランからアロマキャンドルをいただいた。「世界の中心」かと思ったがよく見るとリン
ガ像だった。深く考えてはいけない。いろいろと。
 
 合宿に参加するメンバーと宿に移動。その途中の買い出しでコンビニに寄る。神話のフィギュアがあっ
たので皆で騒いでいると、その横にスタートレックのフィギュア発見。しばし迷う。結果現在パソコン本
体の上にエンタープライズ号が。D型です。
 
 遅い時間からではあったが宿で懇談会開始。仕入れたり持参したりした飲み物で盛り上がる。中でも箱
で持ち込まれた神話フィギュアにおおいに盛り上がる。造形も確かに見事ではあったが、エジプトの神々
の立ち姿がモデルの立ちポーズであったことがおおいに興がられていた。神々のパリコレ撮影会が繰り広
げられる。またチョコ菓子も捧げられていた。久しぶりにアルコールを飲んで枷が外れたのかエンタープ
ライズを仲間入りさせようとした人間もいた。すみません。
 このフィギュアには他にもアテナなどがあったが、出来はとてもいい。コンプリートすれば壮観だろう。
どなたかコンプリートを撮影してサイトにでもあげてくださらないものか。
 個人的には某氏と実録民話話やSF話で盛り上がったことが印象に残っている。神話オフでハインライ
ンや軌道エレベータの話が出来るとは思わなかった。ただできあがっていたのであまり論理的ではなかっ
たと思う。まあ楽しかったのでよいだろう。
 他の方々も絵の交換や昔のアニメの話などをされて、非常に良い雰囲気であったと思う。
 真夜中も過ぎたころあいでそれぞれの寝部屋に引き上げる。おやすみなさいー。
 
 翌朝はモーニングコールでどうにか起床に成功。朝食の時間に勘違いがあって他の人を巻きこむ。すみ
ません。朝食は日本旅館の標準で焼き魚と漬け物、味噌汁だった。正しい日本の朝食である。
 精算のあとは品川に移動して映画「GOD DIVA」観賞。近未来、巨大企業に支配され人体改造が
当然となっている社会が舞台。そこに古代エジプト風の人類を作ったらしい神が己の子孫を残すために
来訪し、巨大企業に逆らったため冷凍睡眠の刑に服していた主人公に乗り移る、という筋書きらしい。
 一応追われたりはするが、別に巨大企業を倒すため神と人とが協力して戦うらしい描写はない。映像の
美しさとアクションシーンを楽しむための映画。こういうものに整合性がどうこういうのは野暮というも
のだろう。
 しかし神と乗り移られた男性との恋愛話には笑えた。そういう話をするならもうちょっと控えめにした
らいかがですかホルスさん。
 謎が謎のまま放っておかれ、これからヒロインとヒーローとの新しい関係が始まる、というところで
終わり。うん笑えたし映像が綺麗だった。楽しめました。
 むしろ気になったのが「トロイ」の予告版。「イーリアス」は恋愛ものではないはずなんだが。ああつ
っこみ入れに見に行きたい。真面目に作ってあるらしいだけに不安だ。某氏と「アキレウスを一度後ろか
らどつきたおしたい」と意見一致。
 その後従業員の制服があれでそれな某ファミレスで昼食。パンフレットを見てもやっぱり話がよくわか
らない。
 
 会談できる場所を探して品川駅の外に出る。孫の手のようなオブジェが二つ並んでいたがあれはなんだ
ったのか。最初はカラオケという話だった。ええとあの多分皆さんご存じないアニソンばかりでよろしけ
ればいいんですが。がー…。
 某喫茶店で会談。何故か私のいたテーブルはボーイズラブ話になった。確かに男性にはうけいれづらい
ものだろうが、サイトトップページや表紙での警告をして嫌いな人にそれとわかるようにしておけばいい
のでは。ところで壬生寺に新撰組のそれを置いていく人がいるというのは本当ですか。それはちとやりす
ぎ。
 歓談していると喫茶店の方から緑茶が出された。あれはひょっとして「やるから早く出ていけ」という
サインだったのだろうか。
 店を出て品川駅にたどり着く。時間的に頃合いであったのでここで暇乞いした。
 
 普段家に閉じこもりがちであったので様々な方々と会話、しかも興味ある分野でのものを楽しめて非常
に有意義な二日間だった。また機会があったら是非に参加したい。
 今度はさらに濃く。
 

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