海苔の呼称と由来

海苔は日本人の家庭に日常欠かせない食品であり、その魅力ある 特有の香りや、光沢、風味は吾が民族伝統の心を如実に映していて、 限りない親しみと、天の恵みものです。
海苔の由来

「ノリ」は”メ”(海布、布)、”モ"(裳)等と並んで我々の遠つ祖の持つ素朴な感覚が生み出した大和言葉である。

文字が伝えられる以前(万葉の時代)から食用とされていました。文字が導入されてから,江戸時代に至るまで,一千余年の長きに渡って、「紫菜」(むらさきのり)あるいは「神仙菜」(あまのり)・「甘海苔」(あまのり)の 文字と呼称が使われていました。

鎌倉時代には「あまのり」の呼称で呼ばれていて、 「海苔」、「苔」と書いて「のり」一品を指すに至ったのは、江戸時代中期からです。 アサクサノリ、品川苔等、地名特徴を読み込んだ呼称もこの頃です。

明治時代以降「乾のり」「乾 海苔」の呼称が普遍化し、現今では「焼のり」、「味付け海苔」等 など「加工のり」に対し、普通判に抄き上げた製品を「乾海苔」と呼んでいます。「乾海苔」こそは、紫菜・神仙菜・甘海苔・苔・アサクサノリ等々、時代性を背景にして、次々に現れ消え去っていった「海苔」文字と呼称の現代版です。


参考文献:海苔の歴史   宮下 章著

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