・健康保険と厚生年金保険は原則として一体として届出されます。健康保険は企業・業種別組合がありますので、
その加入者は厚生年金保険のみ加入します。
*適用事業所
・成立届を提出できる事業所で、会社等の法人(労働者が1人でも対象)、労働者が5人以上の個人事業所等が
対象です。
*加入対象者
・常時雇用される労働者です。ただし常時雇用される労働者でも労働時間,労働日数等の働き方が通常の
労働者の3分の2未満の場合は加入できません。
・事業主(会社の取締役等)も加入できます。
*加入手続
・成立届と同時に加入対象について「健康保険、厚生年金保険資格取得届」を提出します。
*保険料の負担区分
・事業主と労働者の折半です。ただし、保険料率はそれぞれ違います。
・一般的には、就業規則の内規として「育児・介護規定」を定めこれに基づき処理されますが、これらの規定が
定められてなくても雇用保険法の支給要件に該当すれば支給されます。
・手続としては、「休業開始時賃金月額証明書」 →「育児休業集ふ受給資格確認票(初回育児休業基本給付金
申請書)」→ 「育児休業基本給付金支給申請書」(2か月に1回)の順で手続を行います。
・また、育児休業者に対しては職場に復帰後に6か月以上継続して雇用されている場合は職場復帰給付金が
支給されます(「育児休業者職場復帰給付金支給申請書」)。
・労災保険の給付区分は、業務上災害(病気・怪我・死亡したとき)と、通勤災害を被ったときに分けられます。
・労災保険の適用には、「労働者であること」、「事業者の指揮監督下の労働であること」の適用要件があり、
手続きにおいて審査されます。
・給付として、療養補償給付、休業補償給付,障害補償給付、遺族補償年金給付,葬祭料等があります。
*届出の期間は雇用した月の翌月の10日です。ただし、この期日より遅れても受理され雇用した月から
被保険者になります。
*資格者証は「雇用保険被保険者証」が送付されますので、本人または事業主が保管します。一般的には、
紛失防止のため事業主が保管する場合が多いです。
・届出の期間は退職した日の翌日から10日以内です。雇用保険の失業給付を請求する場合は「雇用保険被
保険者離職証明書」を同時に提出します。
・雇用保険給付の主体となる給付で、「雇用保険被保険者離職証明書」の証明を受け、該当者に交付します。
・離職証明書には、退職理由(自己都合、定年退職、懲戒、整理解雇等)、給付額の基礎となる賃金額等が
記載されハロワークはこの内容に基づき、支給額、支給期間等を決定します
*保険料の納付は、「労働保険料年度更新手続」を参照ください。
*(その他)
・労災保険は1人でも雇用しておれば強制加入となり、成立届を届出てない状態で労働者に労働災害が
発生した場合でも、労働者には労災給付の対象になります。
ただし、事業者には保険料の納付、課徴金、処分がなされます。
・事業主は労災保険に加入できませんが「特別加入」することができます。加入には、労働保険関係事務を
事務組合 に事務委託する必要があります。(事務組合を参照)
・労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康の促進と労働者災害防止等を推進します。
・具体的には、安全衛生管理体制、健康障害の防止、危険有害物の措置、健康の保持・増進、免許等職場安全に
関する事項を定めています。
・特に、安全管理衛生管理者等の配置義務、健康診断の実施・管理義務は重要であり、気つかずに危険有害物に
指定される薬品等を保管・使用している場合がありますので注意が必要です。
・労働保険の保険料を徴収すつための手続で、年1回前年度(前年の4月から当年の3月)の分を算定し7月に
納付します。
*保険料は、概算保険料と確定保険料にわかれます。
・概算保険料:当年度(当年の4月から翌年3月)の「給与総額を予想」し、これを基礎に計算した保険料です。
・確定保険料:前年度の「給与総額」の実績を基礎に計算した保険料です。
・年度の初めに(実際は7月)概算保険料を予納し、年度の終了後(実際は7月)に確定保険料を計算して、
予納した概算保険料と清算し、差額を納付又は還付されます
*手続に必要な案内、帳票は4月ごろ労働局から送付されます。
給与計算処理
給与計算業務については、
・毎月給与支払日に給与を支給できるよう処理すること
・毎日の出退勤を記録した「タイムカード」の集計が正確に行われること
・賃金の支給基準・データを常に正確に反映・維持すること
等が重要になります。
給与計算処理は専用のシステムを導入し、「給与明細書」、次に述べる「賃金台帳」、 「源泉徴収票」等の 作成・管理を行います。
賃金台帳
賃金台帳は、労働基準法に整備しなければならない旨のを定めている。
台帳は毎月作成され、個人・事業所全体の賃金額、社会・労働保険料、所得税等の控除 額を記載します。
・通常の勤務した後の宿直や、休日における日直等の必要がある事業の場合、1日、1週間,週休制等の原則を
超えて、宿直、日直をさせようとするときです。
・就業規則は、常時10人以上の労働者を雇用する場合は作成し、届出する必要があります。
・国の各種助成金・奨励金等の受給申請する場合は、就業規則の作成が要件である場合が多いので、10人未満
でも作成をお勧めします。
・また、就業規則に定めなければ効力が発生しない項目も多くありますので、事業に適合した基礎国の作成が
必要です。
・労働基準法は1名でも労働者を雇用すれば適用があり、個人・法人を問いません。また、労働者とは「事業者に
使用される者で、賃金を支払われれる者」です。
・基準法の主な規定は、雇入・退職、労働時間・休日・有給休暇等、賃金、年少者・女性労働者の労働基準、
就業規則等に関して定めています。、
・なお、労働基準法は強制規定で、かつ、罰金から10年以下の懲役を含む罰則規定があります。
・以下、届出等の手続が必要がある主な事項について概要を記載します。
・いわゆる36協定といわれる協定で、労働者(組合、従業員代表党)と協定を結び、労働基準監督署に届出します。
届出しないで時間外労働や休日労働をさせると違反になります。
・1週間単位、1か月単位、1年単位の協定があり、単位区分に従い1時間8時間労働、1周40時間労働の枠を弾力
的に定めることができます。(単位内の総労働時間は通常の場合と同じです。)
・これは、事業の実態労働にあわせて弾力的な労働をめざした取り扱いで、例えば、業種により4月、9月、12月が
繁忙となるのであれば、その月の労働時間を増加し、他の月の労働時間を少なくする協定です。
・届出の期間:雇用した日から5日以内です。届出を早く求めるのは、保険料の徴収が毎月単位のためです。
手続きが遅れた場合は、取得届が受理された日が加入日となりますので注意が必要です。現実には、1か月
以内なれば雇用された日が加入日とする取扱いのようです。
また、遅延理由書提出を求められるばあいがあります。
なお、配偶者、子、父母等の被扶養者が居る場合は、「健康保険被扶養者届」も届け出ます。
・資格者証:「健康保険者証」が送付されますので本人に渡します。また、20歳未満の方には「年金手帳」が交付
されます(20歳以上の人は、20歳時点で国民年金保険に加入時点で交付されます)。
・届の期間:退職した日から5日以内です。交付をうけた「被保険者証」を返納します。手続きがおくれても退職した日
が資格喪失日となりますので、退職日以降に被保険者証を使用しないよう注意が必要です。
・主体となる給付は、「健康保険証」を使用して医療機関で受ける療養給付で手続等はありません。
・その他の給付として、療養費、傷病手当金、高額療養費、移送費、出産手当金、出産育児一時金、埋葬料等がり
、 健康保険協会の各支部へ申請します。
・保険料の徴収の基礎となる労働者の賃金額(標準報酬月額)を確定します。
・雇用時の標準報酬額は、資格取得届の「健康保険、厚生年金保険資格取得届」に記載した賃金額です。
よって年1回、7月1日の在籍者について、4月から6月間の賃金額の平均を計算、算定額として届出します。
・標準報酬月額は算定額そのものでなく、賃金ランク(厚生年金は、30ランク、健康保険は47ランク)に該当する
標準報酬額になります。
・決定された標準報酬月額は、8月頃通知されますので労働者の方に周知します。
・手続に必要な案内、帳票は6月ごろ年金事務所から送付されます。
・労災保険と雇用保険は原則として一体として届出します。加入対象者、保険料の負担区分に違いがありますが、
保険料の納付手続きは同じです。成立届の届出先は、原則としてハローワークです。ただし、労災保険のみ
の場合は労働基準監督署になります。
*加入対象者
・労災保険:雇用される全ての労働者(アルバイトも対象)。事業主(会社の場合は取締役)は加入できません。
・雇用保険:一定の加入要件に該当する労働者。事業主(会社の場合は取締役)は加入できません。
ただし、社長以外の取締役については業務実態が労働者と同じであれば加入できる場合があります。
*加入対象者の手続
・労災保険:雇用される全員が強制加入となりますので、労働者個人の加入手続きはありません。
・雇用保険:成立届と同時に加入対象の労働者 について「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。
*保険料の負担区分
・労災保険:事業主の全額負担
・雇用保険:事業主と労働者の折半