退職となった。無職である。燃え尽き症候群となって働き続けで得た「無職」ならぬ「夢職」である。夢を実現できる職であり残されたのは「夢を実現する勇気を発揮する」だけである。昭和28年8月15歳5ヶ月で始めて北アルプスの常念岳に登った。それ以来山へ登ってきた。山へ登る人間の常として登山案内書をよく読み、松浦武四郎なる人物に出会い、たくさんの記録を読み関心を持ち、やがて尊敬すべき人物となった。そして夢職のキックオフに松浦武四郎が蝦夷地で記録された事実の現場に立つことをも目的として北海道で一年間の長期滞在・ロングステイを計画、実行した。

北海道一年間長期滞在
ロングステイは
夢職のキックオフ
 北海道での長期滞在地を探す
   条件
   ・ 「こここそ北海道」と感じるところ
   ・ 長期滞在だから自炊が基本。
     キッチン用具はもちろん生活に必要な器具・用具がすべて整っていること
   ・ 快適な生活ができるところ
   ・ 費用が適当であると言うよりあまりかからないこと
 


 妻とは1973年から一緒に山へ行くようになった。年々体重が増加し続けたが生来の逞しさと称賛されるべき意欲・意地で次々と高い山に登った。
 県外で生活した経験のない妻の念願は「退職したら北海道で1年間生活したい」であった。妻の願望を実現する方法は夢を人に語ることであった。「人に言ってあるから実現しなければ」と自己への脅迫で着々と夢をかなえてきた。
 二人の退職によって夢の実現を具体的に立体的に計画できるときがきた。とにかく滞在地を決めなければ見通しが立たない。インターネットなる強力な機器も知らなかったから本や雑誌で予備知識を蓄え妻が退職した翌日の1999年4月1日から例年になく残雪の多い北の大地を滞在地を探してレンターカーで回った。
春と晩秋を倶知安のニセコひらふ高原
  レンタルコテージ「泉郷」に滞在
 滞在地を探して各地を回り倶知安峠を越えたとたん「此地第一の博識にして故事をよく弁へ居る」コトンランが「島根の始は今の後方羊蹄の岳なり」と語った後方羊蹄山が「嶺青天に直立す。其形ち恰も富士の如し」とそびえていた。倶知安は小林多喜二が「東倶知安行き」で描いた豪雪の地。後方羊蹄山は真っ白であった。1泊レンタルコテージを予約してあった泉郷へ入った。白樺の林に囲まれ残雪の中に別荘、ペンション、レンタルコテージが立ち並ぶメルヘン的な泉郷から後方羊蹄山の全容が見えた。その素晴らしさに山を愛する妻は「絶対ここにしよう。私ここに決めた」と叫んだ。女性にとって最大の関心事の炊事施設も満点であったし大きなスーパーも車で15分ほどの駅前にあった。ニセコはスキーやラフティングなどアウトドアスポーツのメッカ。緑と花と温泉の地でもある。かねてから問い合わせていた費用について交渉。観光のオフシーズンに安く利用できるようになったので早速5・6月の二ヶ月間予約。結局この地で5.6月と11・12月に滞在し事務所の若者にお世話になった。また素晴らしい仲間に出会い山菜取りに連れていただいたりもした。観光客の多いハイシーズンは費用が高くなるために安く過ごせる所を探した。画像にマウスポインタを。
 温泉つきのフューデイズ・コンドミニアム定山渓に滞在
 観光客の多いハイシーズンにコテージを借りての滞在は費用がかさむ。そこで自炊のできるホテル、コンドミニアムを探すことにしたが大きな都市にしかなさそうだ。「安くて豪華で美しくて満足できるコンドミニアム」と贅沢な望みを抱いて札幌で探したが思い出になりそうな適当なものがない。「札幌で見つけることができなければ費用がかさむハイシーズンの夏の滞在は無理かな」と思いつつ、札幌市南区の定山渓温泉地帯を走っていたら偶然、フューデイズ・コンドミニアム定山渓を見つけた。管理人、桑原敏夫さん御夫妻に率直に話をして相談にのっていただき素晴らしい部屋を利用できるようになった。7階に天然温泉、露天風呂、サウナがついていた。札幌中心地が近く古書店での本探し、美術館、博物館行き、食材調達等々なにかと便利であった。1999年の7.8月をここで送ることにした。
 この旅で1999年の5,6月は秀峰後方羊蹄山を間近に見る倶知安町の泉郷、7,8月は札幌市郊外のフューデイズ・コンドミニアム定山渓での生活を楽しむことにした。
 これで5.6.7.8月の長期滞在地は決まった。
 あとは1999年9・10・11.12月、
 2000年1.2.3.4.月は滞在しつつ4ヶ月のうちに探すことにした。
 長期滞在はそれをどこでするか、何をするかによって成果が大きく異なる。
 倶知安町のニセコひらふ高原は温泉地帯。いたるところに温泉がある。またアウトドアのメッカ。豪華絢爛に花が咲き、散歩山歩きコースがいたるところにある。ラフティング、気球乗り、乗馬、釣り、スキー、バードウォッチング等々至れり尽くせりである。それに後方羊蹄山を見ているだけで至福の時が過ぎていく。四季それぞれに自然がもてなしてくれる。北海道長期滞在をこの地から始めたのは正解だった。
 定山渓の近くの札幌には美術館、博物館、図書館をはじめたくさんの文化施設がある。書店や興味関心を呼び起こすものもある。札幌は大都会だ。各種イベントがある。ある意味では北海道の文化に触れることのできる地である。札幌での生活を楽しみながら夏はコンドミニアムを拠点に各地へ出かけた。
 冬の1・2月もここに滞在。雪祭りを楽しみ、コンチネンタル・スキー・ジャンプ大会も見た。北海道体育文化協会のクロスカントリースキーの講習を受けた。近くの三笠スキー場で二週間ほどかけて青森県でクロスカントリースキーの選手だった方の好意で僕達二人だけの個人指導を受けさらにスノーモービルでコースを作っていただき猛練習をした。まさに長期滞在が「無から有を、不可能を可能にする挑戦の日々」を生み出した。お陰で各地のコースや道東の湖の砂州などを滑ることができたし、二人で旭川国際バーサースキー大会にも参加できた。何事にも挑戦であった。
 
 結局、1年間の北海道長期滞在は
 5、 6月 倶知安町泉郷
 7、 8月 札幌市定山渓 コンドミニアム
 9、10月 道東 弟子屈町
11、12月 倶知安町泉郷
 1、 2月 札幌市定山渓 コンドミニアム
 3、 4月 道東 弟子屈町
だった。
 

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