北の大地 花など
 

私の愛する北の大地
花・動物・鳥・クロスカントリー
 教職を定年退職して40日目の1999年5月10日 1年間の長期滞在を予定して念願の北海道に渡った。迎えてくれたのは森町公園の満開の桜であった。長万部を過ぎ最初の滞在地である倶知安町までの道のあちこちに水芭蕉や座禅草、エゾリュウキンカが咲き北海道へ来たという実感を覚えた。
 北の大地の春は一斉に花開く。洞爺湖畔とその山の斜面は梅、桜、さくらんぼの花が咲き、木の下は黄色いタンポポで埋め尽くされる。まさに桃源郷であった。
 残雪がとけると滞在した泉郷の周辺も次々に花が咲く。小高い山の斜面はカタクリ、エゾエンゴサクの群生。コテージの周りは一面のタンデライオンの黄色い花が風に揺れる。ニセコスキー場のシラネアオイ。
 近くの高木山荘さんの広い花畑はすごい。中でもルピナスが見渡す限り咲く頃は圧巻である。
 富良野のラベンダー畑、道内あちこちの原生花園は有名だがそこばかりが花の名所ではない。滝上や東藻琴の芝桜、上湧別のチューリップ、北竜のヒマワリ、ジャガイモの白い花が一面に咲く様も美しい。浜辺を埋め甘い香りを漂わせて咲くハマナスも忘れ難い。
 秋9月色づき始めた紅葉のもと女満別のからし菜とヒマワリの黄色が広がり見事である。少し地味だが天然記念物のサンゴ草の群生も美しい。いずれも北海道らしくそのスケールの大きさに驚かされる。
 そしてすべての大地が雪に覆われる。やがて春、雪の下から真っ先に顔を出す福寿草も春が来た喜びを詩い風情がある。
 北の大地はまさにどこまでも続く花の大地であった。


素晴らしい花園を紹介したい。
ニセコひらふ高原の高木山荘さんのルピナス
 4ヶ月間見て過ごした秀峰・羊蹄山をバックにこの花畑で次々と花が咲いた。その素晴らしさは筆舌では表現できない。
ニセコ東山にある自然学舎の花畑
 山岳写真の会「白い峰」会員の友人ご夫妻が訪ねて来てくれた。一緒にニセコアンヌプリの山麓で散策した。貝の研究で知られているご主人は今では「貝よりも山」と奥さんとともに山岳写真へドップリ。
黒松内で知り合った工藤さん姉妹のおじいさんの畑のコルチカム
 黒松内町の丘で「これ私たちのおじいさんの花畑よ」と教えてくれた小学校1年生と2年生の工藤さん姉妹のことを花の美しさとともに決して忘れないと思った。
 聡美さん、千愛さん
 いちごありがとう。すごくおいしかったよ。
 
上湧別のチューリップ畑
 「ええ!なんなのこの広さ!」 あまりの広さに仰天した。係りの方から「育てるのは大変だが花が咲くと大地に春が来たと実感する」と聞いた。チューリップの絨毯であった。
能取湖卯原内の日本一のサンゴ草
 群落の色彩の妙味に感心。不思議な形・色。こんな植物を見たのははじめてであった。この日はちょうどサンゴ草祭り。祭りでは蟹を焼いたりなど北の大地の食材の豊かさを感じた。
滝上町の芝桜公園
 倶知安町でも東藻琴村でも滝上町でも芝桜を見た。いずれも山の斜面一面に咲いていた。
ニセコ東山のヒマワリ
 ニセコ、北竜町などたくさんの地でヒマワリを見た。もっとも驚いたのは女満別町の秋のヒマワリであった。「なぜ今頃ヒマワリが?」 土地の人に聞いたら「連作を避けるためと肥料にする」と。飛行機から見る秋の女満別は黄色の大地とか。
 
 富良野のラベンダー等の花畑や美瑛の丘にも何度か行ったり歩いたりしたがあまりにも有名なのでここでは画像を省略する。
豪快な道東の冬の世界
風連湖砂州の驚くほどのエゾシカの群れ
 北の大地の自然の豊かさを髣髴とさせるこの光景に接したときの驚きと興奮を想像できるだろうか。根室湾のこの砂州には遠く十勝からもエゾシカが来て何百頭もの群れとなり砂州をびっしりと埋め尽くす。観光客が来ない厳冬期の大地の営みに感動のひとことであった。
標茶の茅沼で見た丹頂鶴
 タンチョウの来る駅として有名な「かやぬま」駅の近くのかやぬま温泉で見たタンチョウ。白鳥のデコイ(擬鳥)の周りで遊ぶタンチョウがおもしろく人々が興味津々と見ていた。 
オホーツク海の流氷上で休むオオワシ
 黄色く大きなくちばしと肩と尾の白い羽。羽を広げると2mにもなるオオワシが悠然と飛ぶ。まさに王者の風格。大好きな羅臼の海岸通りの樹木にたくさん止まっていた。
屈斜路湖夕景の中の白鳥
 美幌峠に日が落ちるころ屈斜路湖は夕陽に映える。凍結した湖も温泉が流れ込むところだけは氷が融けそこに白鳥が集まっている。もうすぐ落日。白鳥はマイナス20度の夜をどこで過ごすのだろうか。
 
 
歩くスキー
 素晴らしい自然がいっぱいの北海道で自然に溶け込んで遊ぶのも楽しい。
 雪解けの水が豊かに流れる尻別川を若者たちに混じって下るラフティングは生まれてはじめての体験で今思い出しても強烈な興奮を覚える。また屈斜路湖から紅葉する釧路川を静かに下るカヌーも忘れ難い。
 冬から春にかけての4ケ月間は歩くスキー(クロスカントリースキー)に夢中であった。自然の懐深くまで入れるこのスキーは北の大地での生活に潤いをもたらしてくれた。
トドワラへのクロスカントリースキー
 いろんなところで滑ったがもっとも素晴らしかったのは野付半島のトドワラへのコースだった。静かで荘厳な世界だった。
旭川国際バーサースキー大会へ出場
 夫に「挑戦の日々だ。出てみろ」と言われてなんと第20回旭川国際バーサースキー大会へ参加。夢にも思わなかったスキー大会への参加。会場はカラフルなスタイルで賑やか。高鳴る興奮を押さえてスタートを待ってピストルの合図と共に・・・ゴールに入るまで恥も外聞も捨て無我夢中になって、必死に登り滑った。人生でただ一回のスポーツ大会に味を占め機会があったらまた挑戦をと思った。忘れえぬ思い出。
早春のオホーツク海流氷の上で
 早春のサロマ湖砂州から海岸へ滑り降りて流氷の上へ。この頃から根室海峡でたくさんのシャチやクジラを見た。楽しいスキーの季節も終わりとなった。マイナス10度の中で滑った日々が懐かしく過ぎた。

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