バリの休日

バリの休日
 孫たちに誘われて、バリ島に行ってきた。もう高齢の私たちがバリ島でもなかろうとの思いはあったが、娘夫婦と孫2人、私たちの6人旅は、私たちなりの過ごし方があり楽しいものであった。


7月26日
 羽田新国際線ターミナルで孫たちと落ち合う。
飛行機はGaruda(鳥の名だそうだ)Indonesia  娘がエグゼクティブクラスのカウンターに並んだのでびっくり。Executiveって確か幹部、重役、高官って意味でしょ、私たちはつましい庶民ですよ。
7月27日
 とはいえ、機内は快適。午前1時離陸後の7時間あまり、完全にベット状態になるシートで悠々と過ごす。娘の心配りに感謝。
 デンバサール・ングラライ国際空港に着くと、パラダイス バリ ツアーズのガイド アルサさんが待っていてくださった。日本語が話せるガイドさんで、滞在中いつでも来てくださる。心強い。もっとも娘もインドネシア語が話せるのでアルサさんにお世話になるのは専ら私たち夫婦。歓迎の生花を一人一人にいただく。今夜の宿は、ウブドだが、かなり北部のエレファント サハリ パーク&ロッジ 空港から2時間近くかかった。孫は車に強くない。心配していると、ミュージカル「南十字星」にあわせ親子で合唱したものをCDにしてきており、それを流してもらい一緒に歌いながらの旅。我が娘ながらあっぱれと感心する。道は狭く、車やオートバイがひしめいていて、すり抜けるオートバイに、これでよく事故がおきないものだとひやひや。道端の風景や、今日から3日間海岸部で凧揚げ大会があるとかで、会場に運ばれる大きな凧をながめたり・・・宿に着くと、ツアーに選べるアドベンチャーアクティビィティーに、ラフティング、サイクリング、トレッキングがついていて、私たちはラフティングを選んだ。
アユン川でラフティング
 午後は、アユン川の上流まで行き、長い長い石段を下りる。深い渓谷である。北海道のニセコでもラフティングを楽しんだことがあったが、それにも増して川幅が狭く、岩がゴツゴツしていてかなりの急流である。その上インストラクターが、わざと岩にぶつけたり、波を乗り切るのではなくゴムボートを波と平行にして揺らしたり、泳いだり、滝に打たれたりとスリル満点、3km2時間あまりのコースであったが、充分に楽しんだ。普段立ち入ることのない渓谷内部の大自然を身近に感じられるのも魅力的だ。
 宿の部屋のベランダからは、35頭の象が放し飼いになっている広大な広場が間近に見える。夕刻、象が部屋まで迎えに来て、その背中に乗り、会場へ。エレファントショーと夕食。
7月28日
 早朝から、孫たちは象の体を洗ったり、背中に乗って、池の中で水浴びさせたり・・・
象のり体験
 大自然の中を、象の背中に揺られながらのんびりと散歩。小鳥の声を聞きながら、園内に咲く色とりどりの花を眺めたり、飼われている牛に出合ったり。
 その後も孫たちは、エレファントパーク園内の象の博物館やギャラリー、プールなどを楽しむ。私たちは分かれて、周辺の観光に出かけた。オプショナルツアー、車と運転手さん、ガイドさんの2人の6時間コース。日本円で6000円は安い。拝観料、駐車料などは別だが。日本ではこうはいかない。ガイドは、アルサさん。
テガララン
 地名は藁からきているそうだ。つまり水田である。棚田ではジャティルウィが有名で、広さにおいては見渡す限りだそうだがかなり遠い。そこでウブド郊外のここに。ここはややコンパクトではあるが高低差の大きい棚田(ライステラス)が一望できる。展望カフェの先に広がる棚田を歩いている人、農作業する農民もたくさん見られた。こんな絶景をこつこつと作り出した農民ってすごいなあ。ちなみに日本のように棚田に石積は見られなかった。またバリは三毛作なので、田植えと稲刈りがあちこちで同時に見られた。
グヌン・カウィ・スパトゥ寺院
 ヒンドゥー教の寺院である。アルサさんのお父さんはヒンドゥー教の僧で、彼自身熱心な信者であるので、ヒンドゥー教やその寺院について詳しく聞くことができとてもよかった。大きな池と聖なる泉の湧くところ、清らかな沐浴場そして建物・・・ヒンドゥー教の世界に浸ることができた。
キンタマーニ
 突然眼前にバトゥール山(1717m)が現れたときびっくりし驚きの声をあげた。中腹から裾野にかけて山火事の跡かと見られる黒い部分は、溶岩が流れ落ちた跡だという。バトゥール山とアバン山に挟まれた広大なバトゥール湖、この雄大な光景をさして「キンタマーニ」という地名で呼ばれることが多い。外輪山にあるレストランでビュッフェランチを楽しんだ。
 車中から、綺麗に飾りつけのある家が見られた。結婚式か祝い事のある家だとのこと。一年に一度七夕の盛大な祭りがあり、その大きな飾りが残してある家もあった。また葬送の儀式にも出くわした。死に対する考え方、葬送の儀式についても詳しく説明してもらった。また祭りに捧げる生贄のため、道路が封鎖されているところもあった。人々の生活が垣間見られとても興味深かった。
ティルタ・ウンプル
 インドラ神が杖で大地を叩いて、不老不死の水「アメルタ」を湧き出させたという伝説の残る泉と、それを祀る寺院。寺院の入口に大きな果実のぶらさがっている木、その奥には巨大なガジュマロの木、御神木ともいうべきか飾りつけが施され、人々が祈りを捧げていた。さらに進むと沐浴場があり、ありがたい水が引かれており、たくさんの人々が沐浴していた。この寺院の建物はことにすばらしく、お供え物を頭に載せた民族衣装の女性にもたくさん出会えた。帰り道にはたくさんの店が並び、ジャワ更紗や置物、籠、木彫りなど工芸品がひしめきあっていた。
ゴア・ガジャ
 11世紀頃に作られただろうと推測されるミステリアスな古代遺跡である。埋まっていたものを掘り出したというかつての沐浴場、大きな目玉で洞窟の入口を見守る邪気除けのボマ像、洞窟の内部にはリンガや瞑想窟があり、ガネーシャ像も祀られていた。川縁には崖崩れで崩壊したチャンディが生々しく残り、不思議な雰囲気にあふれていた。ここではアルサさんの奥さんとも会い楽しかった。
 その後、ウブドのペルティウィ リゾート&スパに送ってもらった。おまかせの6時間コースであったが、充実した行程で大満足であった。
7月28日
 ウブドに着いた日の夜、賑やかな商店街を歩き、そのうちの一軒のレストランで夕食。バリでは、ホテルでもレストランでも、着くやいなや甘い甘いジュースがふるまわれる。さしずめ日本のお茶や水にあたろうか。バリでは生水は要注意(日本ほど安全でおいしい水が当たり前なのは世界でも珍しいそう)で、必ずミネラルウオーターを用意する。そのせいかジュースが出されるのだろう。これが甘すぎるのにはいささか閉口。
ウブド王宮(プリ・サレン)
 王制時代の華やかな面影が感じられる場所。現在も王族の子孫が暮らしておられるそうだ。
バリダンス(伝統舞踊)
 伝統的なものから新作までバリ舞踊は百花繚乱。そのうちの一つ、ウブド王宮で行われた「ジャヤスァラ・バリ舞踊グループ」の公演へ。バリの文化・芸術・宗教はバリ島民の生活と強く結びついているそうで、民族衣装の華やかさに魅せられた。
・ジャヤ・スマラ・演奏(ガムラン演奏)
・テドゥン・アグン
・バリス・バンダナ・マンガラ・ユダ
・レゴン・プラバ・ドゥタ
・アンクルン演奏
・チェンドラワシー
・トペン・アルサ・ウィジャヤ
・タルナ・ジャヤ
・ギラック演奏
7月29日
 泊まったのはすてきなリゾートホテル。3室を貸切、ベランダの境を開ければ3室の行き来自由。今日からここに2連泊し、ウブドとその郊外のバリ中部を堪能する。
 目覚めた早朝、ヤシの木の向うに朝焼けの空が広がり、誠に南国らしい。赤道近くだというのに、湿気がなく風もあって爽やか。夜は寒いくらいだ。ヤシの実もたわわになっている。朝食は軽いものが欲しくて私たちは粥を頼んだ。日本のお米とは違うが生卵入りでなかなか美味であった。他の4人はそれぞれにナシゴレン(ゴレンは炒める意で、バリの日常食)など。その後、孫たちは、ヘアサロンで南国風の三つ編をたくさん施したヘアスタイルやネイルでおしゃれを楽しんだり、プールで泳いだり・・・私たちは本を読んだりしてゆったりと過ごす。まさにリゾート。午後は私と娘と孫でショッピングに。おしゃれリゾートワンピや更紗などを物色。夫はプリ・ルキサン美術館へ。
バリZooナイトサハリ
 バリ動物園のナイトサハリにいった。象に餌をやったり、ショーを見ながらのディナー、そして夜の動物園の散策と盛りだくさんの夜を楽しんだ。
7月30日
 ホテルでの朝食、郷土食にも少し慣れてきた。
モンキー・フォレスト
 ウブドの町なかに残る自然保護区で、200匹ほどのサルがいるそうだ。大樹が茂る森の中には寺院や聖なる湧き水がある。私たちにとっては猿もさることながら、やはり寺院がよかった。いままでの寺院では黄色い帯をしめての参拝であったが、ここでは緑の布を巻き、黄色の帯を締めて参拝。歩いて帰る道すがら、田園が広がり、いかにもリゾート地らしい建物が見られた。
 チェックアウトののち、迎えの車でジンバランのインターコンチネンタル・バリ・リゾートへ移動。驚いたのは、セキュリティの厳しさだ。車は1台1台しっかりと検問を受ける。まるで要人の泊まるホテルのよう。
 
 
7月30日
 バリ南部の海岸に臨むリゾート地。微風はあるもののウブドに比べると、南国らしい日差しに暑さを感じる。これはいよいよ用意してきたサングラスと日焼け止めの出番らしい。
 ジンバランで最初にオープンしたというこのインターコンチネンタル・バリ・リゾートにはびっくり仰天。開放的なバリスタイルのロビー、宿泊棟は幾棟にも分かれ、広大な敷地内にはこれまたいくつものプールや施設がある。その上プライベートビーチも。クラシックな雰囲気が漂う客室がまたすごい。老舗ならではの落ち着きと、バリ情緒に満ちたリゾートホテルである。私たちはここに3連泊する。
 さっそく私たち夫婦を除く4人はプールで遊び始めた。私たちはプールサイドの芝生の上にいくつも用意されている日よけの傘つきのゆったりとしたチェアーに寝そべる。見上げると南国らしい木々に周りを囲まれている。なんという花だろう一日花だろう白い花がたくさん咲いていて、たえず散り落ちる。プールや庭園を管理する人も多く、散り落ちる花を常に拾い集めている。浜辺に出ると、南にかの有名なフォーシーズン・リゾート・ジンバラン、北にはシーフード屋台・イカン・バカールを挟んでグラライ国際空港の滑走路が臨める。その間に広がるさんご礁の白い砂浜がどこまでも続く。やがて分かってきた。ここに来たら何もしない。自由気ままに泳いだり、本を読んだり、部屋で寛いだり、気分転換に無料のラウンジで、菓子や果物を食べ飲み物を飲む。とりたてて何をするでもなくのんびり過ごす、それがリゾートなのだということが。
ケチャッ
 夕方からウルワッ寺院のところで行われる伝統舞踊ケチャッを見に行った。ケチャッというのは、大勢の男性によって演じられるミステリアスな合唱舞踊である。バリ古来の土着宗教である太陽崇拝と、海から魔物が陸に上ってこないように祈る儀式が発展したもので、現在は「ラーマヤナ叙事詩」をモチーフにした舞踊劇になっている。夕日が海を赤く染めると崖の上のウルワッ寺院のシルエットが浮かび上がる。やがて大勢の裸の男たちが現れケチャッが始まる。その手振りと絶え間なく続く「チャ」のかけ声が折り重なるリズム感は不思議な感覚だ。
ワルン・ラーマヤナ
 ジンバラン・ビーチサイトにある老舗シーフード屋台、バリへ来たら新鮮な海の幸・シーフードBBQを食べなくっちゃというわけである。ケースに並ぶ量り売りの新鮮魚介類を選んで浜辺にずらりと並ぶ灯りを灯したテーブルで焼く。ロブスター、かに、烏賊、貝等々海の幸を堪能。
7月31日
 早朝、浜辺を散歩。浜辺に並ぶデッキチェアー、木陰を選んでどこまでも青い海を眺める。波の静かな遠浅の海だ。真っ白で細かい砂粒の砂浜を歩くとところどころにサンゴ礁の破片が打ち寄せられている。同じく浜を歩いた孫たちから浜で拾ったというタカラ貝をプレゼントされた。
  午前中はまたまたプール。パパと孫が「ウォーターボーイ」のまねをしていたのには拍手喝采、なかなかやるじゃない。その後、パパ(娘の夫)は仕事のため帰国。午後、3人はクッキング体験へ。私たちはまたまたアルサさんにガイドしてもらって、南部観光4時間コース。
ウルワッ寺院
 昨夜、ケチャッを見に来たところ。断崖絶壁に建つ、バリで最も由緒ある寺院のひとつ。ジャワからバリ島に行脚に訪れた高僧ニラルタが、ここから空へ飛び立っていったという言い伝えも残る。インド洋に突き出た岬の上に建つこの名刹のそばまで登っていった。
 市街地に戻るとたくさんの子どもたちが歩いていた。聞けば、今バリでは子どもの数が爆発的に増えていて、学校は午前と午後の2部制なのだそうだ。それでも休日は日曜日と宗教的な儀式のときだけ、夏休みのような長期休暇はないそうで、時間的には充分らしい。
ヌサ・ドゥア
 ここは不思議な空間だ。イスラム教、キルスト教カトリック、仏教、プロテスタント、ヒンドゥ教の寺院がずらりと並んでいる。すべての宗教・宗派、すべての人々が仲良くすることが最大の目標とか。日本では考えられないなあ。
プノア
 かつて二つの島といわれたところが今は橋でつながっているこの一帯、つまりヌサ・ドゥアからプノアにかけては、世界的に有名な大型ホテルがずらり。一つのホテルに到達するまでに3つのゲートを潜るなどセキュリティが非常に厳しい。ガイドさんによれば、それでもバリのよいところは土地は売らない、すべて土地は賃貸しだそうだ。その先は、マリンスポーツのメッカ。おいしいアイスコーヒーで喉を潤し、バリコレクションを横に見て、グラライ国際空港のところからジンバランに戻る。ここで最後の見学地
ジンバラン漁港と魚市場
 夫が一番喜んだのはここであった。生きいきとした人々の暮らしが見られたから。漁港といっても沖にたくさんの舟が停泊し、浜辺から今まさに漁に出る舟、すし詰めの人を乗せ、沖に停泊する船に人を運ぶ舟。浜ではつかのまの出航待ち時間を賭博に興じる人々の笑い声。活気あふれる魚市場、鰯、鮪、鰹、烏賊など日本でもお馴染みの魚が並ぶ。
 帰ってから夕食は、プライベートビーチの外れにあるシーフードBBQ。
8月1日
 今朝も早朝海岸散歩。地元の漁師さんが一人、網を打つ姿はさながら一幅の絵。獲物はキスであった。砂に字を書いて教えてもらった。犬が数匹ついて歩く。向うから2頭の茶色い牛が地均しの道具をつけてやってきた。海岸の清掃と砂均し。芝生の刈り取りと水やり、高いヤシの木に登っての枝打ち(突然枝が落ちてくればたいへんだから)、こうして早朝からたくさんの人が、美観と安全を守るために働いていた。
 朝食は海の見えるレストランで朝食バイキング。さすが一流のホテル、料理の種類も多く、ことにハムなど肉類がおいしかった。
 この後、午前中、孫たちはシーカヤックに興じる。勿論インストラクターつき。午後はなんというのだろう、ボードに体を乗せて波乗りに夢中だ。孫たちのタフさに脱帽。年寄り2人はいささか疲れ気味で、チェアーに腰掛け孫たちを見守った。
 のんびりと過ごした夕刻は、海亀を海に放すイベントに参加の後、浜辺をフォーシーズンズ・リゾート・ジンバラン近くまで歩き、すてきなレストランでディナー。
8月2日
 今朝も早朝から海岸散歩。午前中、孫たちは海に、プールに余念がない。私たちは昨日と今日、日本宛に書いたたくさんの手紙をフロントに頼む。
 12時チェツクアウト、迎えに来てくれたアルサさんたちにグラライ国際空港まで送ってもらう。空港ではビジネスクラス専用のラウンジで軽く昼食。3時バリを後にした。
 この夜は羽田国際空港近くのホテルに宿泊し、
8月3日
 帰郷した。思えば長い楽しい孫たちとのリゾート・旅であった。
 
 

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