わたしを変えた出来事

 私は、のんちゃんの障害のことに背を向けていました。しかし保母さんや学校の先生の一生懸命な姿を見て、少しづつ心の扉が開きかけていました。そんな頃、のんちゃんがある出来事に巻き込まれてしまったのです。

当時の のんちゃんの行動パターンとその状況から、絶対にのんちゃんは関係ないと今も信じていますが、自分の意思を伝えられない のんちゃんにかわって「絶対のんちゃんじゃない」と先生がかばってくれたのです。

先生は、のんちゃんを信じてくれていたので、話が大きくなるまで私達もこんな事があったなんて知りませんでした。

ついには校長先生や私達の前で辛い言葉を受けるまでにいたってしまったのです。それでも先生は、「ぜったいのんちゃんじゃない」と言ってくれました。この時、私は、自分の子供でもないのに、こんなにまで のんちゃんの事を思ってくれる先生がいることに感謝の気持ちでいっぱいになり、この出来事の悲しみより、先生に対して感謝の気持ちで涙がでました。

この時、私は先生のお手伝いがしたい、私にできる事ならなんでもすると心に誓ったのです。

それからすぐに白猪山(820m)へ障害児教室の仲間と一緒に登る授業がありました。山登りが好きな私は、何かできればと思い、参加させていただきました。私は、のんちゃんの他に3人の仲間がいるのは知っていましたが、名前くらいしか知らず、どんな子供たちか関心すらありませんでした。

しかし、彼らと山登りをするなかで、一生懸命がんばるその姿に触れ、彼らの澄みきった目、澄みきった心に触れ、感動で胸がいっぱいになり、心が洗われる思いがして、忘れていた心を取り戻せたように感じました。帰宅してから、家族に今日の感動を何度も力説してしまいました。

この日から私は、心の扉が開き、この子たちと関わりたい、いえ一緒に歩みたいと考えるようになったのです。