筆不精の私がハガキを書き始めたのですから、どれほど私が「何とかしたい」と思っていたかが分かると思います。本当に藁にでもすがる思いだったのです。

 ところが、私のところに相談に来られた方に、「ハガキを書くと人生が良くなるから書いてごらんよ」と言ってもほとんどの方は書こうとしません。たまに書き始める方がいてもほとんどの方がすぐにやめてしまいます。そんな人達の相談に乗ってきて私は分かったのです。「私達の人生は、私達の求めている通りになっている」と。

 例えば、「お金が欲しい」と言いながら休日にパチンコに行っている人がいるとしましょう。その人は、お金持ちになりたい人ではなくて、「お金がほしい」と言いながらパチンコに行きたい人なのです。本当にお金持ちになりたい人は、パチンコに行くのではなく、お金持ちになるための方法を考えて行動するはずです。

 試しに「お金がほしい」と言いながらパチンコに行っている人に、研修でもいいですし、ハガキでもいいですから勧めてみてください。まず書きませんから。なぜならその人は、お金持ちになることよりも、「お金がほしい」と言いながらパチンコに行くことが好きな人なのです。

もちろん、お金が欲しくないわけではないと思います。しかし、それよりも今の状態のほうがもっと好きなのです。今の行動を繰り返していて、違った人生はこないのです。

時々、夫婦喧嘩を繰り返している人の相談も受けますが、その人達は夫婦喧嘩をしたい人達か、相手に勝ちたい人達だと思います。普通、夫婦喧嘩は精神的にも肉体的にもきついはずですから、よほど好きでなければ離婚してしまって繰り返すはずがありません。

 私達の人生は、いろいろな環境に影響されていますので、そうした条件に左右された結果、今の状能になっていると考えている方が多いようです。しかし、同じようにガンになったとしても、残された人生を有意義に生きる方と、暗く、悲しみの中で暮らす方がいるのです。ガンが生き方を決めてはいないのです。

会社の不満を言いながら他の会社に移らない人。眉間にしわを寄せている人。上司に認められていないのにやり方を変えない人。もし、こうした状態が続いているとしたら、その人がそうした人生を選んでいると私は思うのです。もし本当にその状態が嫌だったら離婚したり、会社を辞めたりすると思うのです。

このように考えると、今の状態は自分が求めている状態であり、私達の人生は、ありがたいことに自分が求めている通りのものになっているということになります。このことを素直に認めると、自分のことを卑下する必要もなくなりますし、他人を責める必要もなくなります。そのうえで、これからも同じものを求め続けるのか、これからは新しい目標を目指すのかを決められたらよいと私は思うのです。

 「ハガキで人生を拓く」から抜粋

第47回 「養心の会 三重」11月例会
人生は求めている通りになっている
講師 杉井保之先生
【杉井保之先生のプロフィール】
1959
年 静岡県焼津市に生まれる
1976
年 静岡県立吉田高等学校を卒業、静岡県警察官を拝命する 。
    主に刑事事件・少年事件に携わり、在職中に受けた表彰状は100枚を越す。
1986年 父が病気で倒れたため、家業のヤシロ消毒を継ぐ
1990
年 株式会社オリジン・コーポレーションを設立
1993
年 ウィーン国際心理学会において「企業における心理学の活用」を発表
1995
年 全国社会福祉協議会ボランティアコーディネーター研修において、事例を発表
1997
年 デンバーにおけるIACLCL国際学会)において、「日本のカウンセリング」を発表
2000年 アメリカMRIに留学、いじめ・暴行抑制プログラム「セカンド・ステップ」研修
2002
年 4月 立正大学 心理学部 臨床心理学科に入学
2006
年 3月 立正大学 心理学部 臨床心理学科を卒業
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「演題」  〜はがきで人生を拓く〜

日 時 平成19年11月4日(日)
時 間 午前12:00開演
会 場 松阪市産業振興センター
2階 人材育成講座室
住 所 松阪市本町2176
会 費 2,000円(講演会)
茶話会 1,000円(うちの茶の間)
(杉井先生と語る会)
杉井保之