講 師 五十嵐 薫先生
「演題」
マザー・テレサの愛とインドの子供たち

日 時 平成16年4月14日(水)
時 間 午後 6:30開演
会 場 ウッドピア 木の情報館
住 所 松阪市木の郷町1番地
会 費 2,000円(講演会)
茶話会 1,000円(うちの茶の間)
五十嵐 薫先生と語ろう会)

五十嵐 薫先生プロフィール】 

1953年山形県鶴岡市に生まれる。高橋信次氏に師事。電気通信大学物理工学科卒業後、ミネベア(株)へ入社し、電子設計部門に従事する。82年意識教育研究所にて内省セミナーのインストラクターを努める一方、85年マザー・テレサのもとで奉仕の精神を学ぶ『インド心の旅』を始めた。また釈尊の生き方にも通じ、年に数回、聖地巡礼の旅を引率している。東京都府中市在住。1999年特定非営利活動法人レインボー国際協会を創設、理事長。インドのコルカタに親のない子ども達の家と無料診療所を運営している。

□ レインボー・ホームの生まれた背景 □

 海外で活動するNGO(非政府民間組織)の目的とするところは『海外協力』にあり、途上国において貧民や難民の救援活動と、その国が先進国に追いつくための人材養成、経済援助そして自立支援にあるのが一般的な考え方である。それは先進国、日本の果たさなければいけない大きな役目だと思う。
 しかし、私達がインドのコルカタ(旧カルカッタ)で、親のない子ども達のために孤児の家を作った目的は、『海外協力』のためだけではない。ただ貧しい人たちを救おうという目的ならば、現在活躍しているNGOに協力すれば、それで用は足りる。
 そうではなく私達は、何のために生まれて来たのか、この世に生を頂いてどう生きたらいいのか、どのように生きたら私達の命は輝くのか、『生命の証明』として孤児の家を作ったのである。
 ここまで核家族化、少子化がすすんだ日本に生まれ育った子ども達は、親が祖父や祖母に尽くしている姿を見たこともない。母は小さなマイホームのローン返済のためにパート・タイムに励み、父は自宅と会社を往復する企業戦士であり、家族との対話も少ない。それ故、子ども達は親が人のために苦労している姿を見たことがない。
 生活は便利になり、経済的に何の不自由もなくなり、使い捨ての商品が限りなく生まれ、次々に発明される文明の利器は現代人の心から「もったいない」とか「ありがたい」という気持ちを奪い去っていった。
 どうしたら魂が喜ぶのか家庭に喜びを見いだせない少年少女は、家庭の外に喜びを求めて、非行や暴走族などのグループを作っていった。また売春や覚醒剤など一時的な享楽に身を任せたり、行き場を見失って新興宗教の罠にはまる者も多い。彼らは一様に自分の存在がわからないのである。
 自分なんて家庭に必要とされていない。この学校に必要とされていない。職場に必要とされていない。この社会にも必要とされていない。自分なんてこの世に生まれてくる必要がなかったと思いこんでいる。淋しい魂の迷い子達である。

 □ レインボー・ホームは施設ではない □

 マザー・テレサはかつて日本を訪れた時に、経済大国、日本の持っている最大の貧困を指摘した。
 「日本にもたくさんの貧しい人がいます。それは、自分なんて必要とされていないと思っている人たちのことです」
 彼女はこの世で最も貧しいことは、経済的に貧乏であることではなく、社会から捨てられ、自分なんてこの世に生まれてくる必要のない人間であると思う、その孤独感こそが最大の貧困であると断言した。
  私達のレインボー・ホームは、親のいない子ども達に、「私は必要とされている、私は愛されている」という思いを伝えていきたくて建設された。
 レインボー・ホームはたくさんの子どもを一緒に預かる施設ではなく、ごく普通の家庭をめざしている。子どもが抱きしめて欲しい時に、いつでも抱きしめてあげられるお母さんを用意したいのである。
 夜中に目が覚めた時に、手を伸ばしたら母親のぬくもりに触れる、「ママがそばにいた」それだけで安心する幸せを与えてあげたいのである。

  □ レインボー・ホームの理念 □
 人間は大きな天の慈愛の中に、自ら両親を選び愛を学ぶためにこの世に生まれてきたのである。
Life is a light, a law of nature and an act of love. Man is born to learn how to love others and to be made aware that life is the gift of a greater being.
いのち それは光であり、法であり、愛である。人は愛に気づくために生まれ、生かされて生きるいのちである。

 これは私達のプロジェクトの理念である。

 私はレインボー・ホームに特定の宗教を持ち込む気はない。しかし、私達を生かしている『天の意志』と『永遠の生命』は隠さずに、しっかりと伝えていくつもりである。見えない世界の真実を啓発していくことがこのプロジェクトの中心にある。
 レインボー・ホームは単に、貧しい孤児を救済していくためのプロジェクトではない。飢えや貧困から救うだけなら、食べ物と着るもの、住むところを提供すればいい。でもそれでは真の『魂の救済』とはならない。マザー・テレサも伝えるところの「自分は必要とされていない」絶対孤独感を癒すためには、Life is the gift of a greater being. 即ち、『人生とは神からの贈り物である』という価値観が必要不可欠だと思う。
 この普遍的な価値観を伝えていくことが、レインボー・ホームの使命と考えている。

 □ 最も生命が輝くとき □
 ボランティアへ行く私達に、マザー・テレサはよく次のようなことを言われた。 「あなたがたは死を待つ人の家に行って、彼らに何かをしてあげてる、なんて決して思わないでください。してもらっているのは、あなたがたであることに気づいてください。あなたがたは貧しい人に奉仕ができる喜びをいただいているのです。彼らに負債を持っているのはあなたがたの方なのです」

 マザー・テレサにとって奉仕とは、自分の生命そのものとさえ思える大切な方に尽くす行為である。その機会をいただいていること自体が魂の喜びなのである。

 ここまで『奉仕』が昇華されると、もうボランティアという言葉すら存在しない。

 私達のレインボー・ホームもそのようにありたい。貧しい人達に無償で医療を提供し、親のない無力な子ども達の世話をしていることは、自分の愛する親や最も大切な子どもに仕えることと同じだと思う。それ自体が魂の喜びであることを忘れてはいけない。

 私達は子どもの家でボランティアをやらせてもらって、反対に癒されているのはこちらの方であることに気づく。子どもの前では、自分自身が素直になれて、優しい気持ちになる。誰も気どる人もいない。威張る人もいない。認められようとも思わない。子ども達は愛情いっぱいに私達の心を満たしてくれる。どんな名医でもできない癒しを私達に与えてくれる最高の名医、それが子ども達だと思う。

 レインボー・ホームは、生き方を見いだせなくなった現代に、魂のルネッサンスとして生まれた生命の家である。

特定非営利活動法人レインボー国際協会

連絡先 〒183-0001
東京都府中市浅間町2-14-2
TEL.042-362-2323    FAX.042-362-8864
会員数 530名(2004年1月現在)
年間予算 約1700万円
現地ホーム・マザー3名、孤児28名
職員数 日本人4名、現地インド人25名


特定非営利活動法人レインボー国際協会        理事長 五十嵐 薫
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