No.06 世界一さお師な男 伊達千蔵
全7巻 | \505(税別) | |
コミックス | 橋ゆたか(たかはし・ゆたか)・作画 | スーパージャンプKCDX/集英社 |
この漫画家さんは伊達千蔵の前に週刊少年ジャンプで、『ボンボン坂高校演劇部』というマンガを連載していました。
僕はそのファンであったという事で、この作品を読んでました。
話的には、お決まりのパターンで進む、同じスーパージャンプ系列の『企業戦士ヤマザキ』と同じタイプの作品。
人生に悩んでいる女性がいて、千蔵とHしてその後の人生を開いていくパターン。
内容的には、ボンボン坂を少しHにしてみましたという感じで、
多分、作者がボンボン坂でそういうH要素を多少盛り込んでいたのを、青年誌で思いっきりやってみたかったのを表現したという印象です。
ただ、作品として読ませる要素も必要ですから、人生に悩む女性が登場してHという流れで。
読ませる話もありましたが、途中で中だるみした話もあったと思います。
コミックスの最初の頃と、後の巻では、かなりクオリティが違うなと読んでいて感じましたから。
リアリティが感じられなかったというか。
ただ、最終回はかなり早い段階で作者は考えていたように思います。
凄くぴったり来る話で「ああ、コレで終わりなんだ」という。
ラストが暗くなかったのは救いだったように思います。
60/100点
もう少し短い巻数で、クオリティの高い話だけでまとめて欲しかったという事で
点数的には、敢えて少し低めにしました。
全8巻 | \533〜552(税別) | |
コミックス | 安藤慈朗(あんどう・じろう)・作画 かとりまさる・原作 |
アフタヌーンコミックス/講談社 |
駆け足で終わったアニメと違って、それなりの決着を付けて終わったと思います。
アニメの方は雑誌連載の原作との兼ね合いがあって、
アレがあの当時できた最高の内容だったと思っているので、アニメの評価はそんなに低くないです。
読み始めたきっかけは、僕は週刊少年ジャンプに連載されていた『ヒカルの碁』という作品が好きで、
囲碁と将棋という違いはあっても、同じように読んで楽しめるかなと思ったからです。
ただ、最後まで読んで、やっぱりストーリーが弱いかと思いました。
ヒカルの碁と逆なんですよ。
『ヒカルの碁』は、棋譜が弱くて物語にボリュームがあり、対して『しおんの王』は、棋譜がシッカリしていて物語が弱い。
マンガの途中の余白ページに棋譜の解説があって、
それが非常に細かい部分まで考えて指しているのを、解説してくれるんですよ。
話も全体的に暗かったな。
単なる勝負モノの作品でなく、サスペンス性を盛り込んでいましたが、
話が進むに従って面白さが減っていくように感じました。
消去法で行って、最後に犯人はこの人しかいないとなって、何のひねりもなくその通りって終わり方でしたから。
だから、もう一度この原作者とマンガ家のコンビで別の将棋マンガを読みたいですね。
その時は、もう少し明るい話で。
やっぱり、この「しおんの王」という作品は、話が暗めで読後感があまりよくなかったですから。
50/100点
やっぱり漫画作品として、ストーリーが弱いという部分を重視して点数を低めにしました。
絵ももう一つって感じですかねえ。
全3巻 | \571〜590(税別) | |
小説(文庫) | J・さいろー(じぇい・さいろー)・著 大崎シンヤ(おおさき・しんや)・挿絵 ニトロプラス・原作 |
ガガガ文庫/小学館 |
最初読み始めたときは、「コレのどこがカルネヴァーレなんだ!?」と思いましたが、
最後まで読み終わって確かにカルネヴァーレの外伝なのだと感じました。
理由としては、完結の三巻になってようやく本編に絡むキャラクターたちが出てきてましたからだろうなあ。
そこら辺は、1巻の巻末の解説のページで原作者の下倉先生も触れてますしね。
ラストが救いようがなかったですが、カルネヴァーレという作品はそういう作品なのかもと妙に納得してしまいました。
また、マフィアに属する人間たちを取り上げているために、行動理念が一般人と違うために、やや分かりにくいトコロがあるかなあ。
あと、最後の3巻はかなり締め切りがきつかったのか、ページ数に余裕がなかったのか、あとがきがないんですよね。
僕はあとがきが好きなだけに、非常に残念でした。
そこで、著者がどういう気持ちで作品を書いたとかの背景を知る貴重な部分ですから。
85/100点
僕自身、原作ゲームが好きですし、その雰囲気を持つ作品として評価は高めです。
イラストもキャラクターデザイン、原画の方が担当されていて、雰囲気の統一に一役買ってます。
全4巻 | \533〜552(税別) | |
コミックス | 冬目景(とうめ・けい)・作画 | アフタヌーンコミックス/講談社 |
基本的にはいつもの冬目先生らしい作品だったと思います。
どことなく暗く閉塞感の漂うって感じの。
ただ、この作品は好きになれませんでした。
ラストが僕が希望した風にはならなかった事と、イキナリ打ち切られて終わりという感じを受けたからです。
槙とメイが結ばれて欲しかった事が希望なんですがね。
どんなに暗い未来でも、
信じ合う2人で立ち向かえば切り開かれるという『羊のうた』と違うラストを先生が描きたかったのかもしれませんが。
あと、槙が「一緒に行こう」と言って氷夏がやんわりと拒絶するシーンは、
僕的には好きじゃないんですが、キャラの性格と立場を考えたら非常に納得できるラストでした。
40/100点
打ち切り的なラストが納得できないため、点数は低くしました。
連載休止が多い作家だけに終わった事を感謝しないとイケないのかもしれませんが(苦笑)。
全12巻 (前作AQUA2冊を入れれば全14巻です。) |
\552〜562(税別) | |
コミックス | 天野こずえ(あまの・こずえ)作画 | ブレードコミックス /マッグガーデン |
素直に楽しんで読める作品でした。
しかも読みやすい。
描かれている事は、ごく日常的な事で、その中にあるチョットした事をスパイスにしたいい話がたくさんあります。
ふとした事で友達になり、それぞれが同じ目標に向かってがんばり、成功に差が出ても決して仲違いせず、
最後まで進められたのは、キャラと同様に作者の思いやりが随所に出ています。
僕は終わった事に敬意を表したいと思います。
この作品は、『ドラえもん』のようにパラレルワールドのような時間帯にして、永遠に続けるやり方もあったと思います。
某女神様のように、「いつまで続くんだ?」という話もありますし、基本、各話完結ですから、話も作りやすいと思います。
そのような安易な手法を取らず、キレイに終えた作者と、決断を受け入れた出版社はキチンとした判断が出来るようで好感が持てます。
ちなみに、最近のアニメは枠で終えるため、不自然で強引な流れで原作作品を愛していない作品が大変に多いのですが、
この『ARIA』のアニメは、アテナが歌が上手いと分かる回想シーンは、原作以上とも思える演出がありました。
ちなみに、僕が原作漫画で好きなシーンは、アリスが手袋を2つ取られて飛び級でプリマになるシーンです。
アニメはDVD-BOXが出たら買おうかな。
100/100点
非の打ち所がないから100点にしました。
話自体はほのぼの系なので好みがあると思いますが、僕は全然キライではありませんでした。
また、アニメも昨今のやっつけ仕事みたいな酷いモノではないので、機会があればゼヒ一見を!
全4巻 | 1000〜1400(税別) | |
小説(新書) | 虚淵玄(うろぶち・げん/ニトロプラス所属)・著 武内崇(たけうち・たかし/TYPE-MOON所属)・カバーイラスト |
TYPE-MOON BOOKS |
結末が分かっている話でありながら、最後まで夢中になって読み進めました。
そして何より驚いたのは、この著作はゲーム原作者が書いていないという事です。
それでも、恐ろしいくらいに全く矛盾がないんですよ。
設定を深く読み込んだネタや物語の展開にただ圧倒されました。
3巻の半ばくらいから脱落するマスターとサーヴァントが出てくるのですが、意外にアッサリ消えていくんですよね。
そんなに紙面を割いてる余裕がないのもあるかもしれないけど。
ココは、奈須先生ではなく、戦闘シーンに定評のある虚淵先生の上手さかもしれません。
好きだったコンビはウェイバーとイスカンダルかな。
最初は全く合わない凸凹コンビだったのが、最後は双方ともに理解し、ウェイバーが確かな成長を遂げた事を感じさせて死なずに終わる部分がヨカッタ。
最後のウェイバーとギルガメッシュの会話は、僕はこの作品の最高潮だと思った部分です。
ま、基本的には陰鬱な話が展開されてます。
セイバーやアイリスフィールが明るくても、綺礼や切嗣が全てぶちこわしてたw。
彼らは、そういう役柄なんですがね。
Fateが好きなら是が非でも読むべし!
そう断言できる名著だと思います。
分厚い新書版の本が4冊と、読み応えもありますよw!
ただ、バーコードがないため、普通の書籍扱いの商品ではないため、ゲットする手段が難しいですかね。
ニトロプラスの通販が一番確実ですかねえ。
90/100点
読んでいると、作品世界を感じる部分を評価したいと思います。
多分、原作者と著者の間で、気が遠くなるくらい何度も打ち合わせをして書いていったと伺えます。
そこも評価したいですね。
全1巻 | \781(税別) | |
小説(文庫) | 宮尾登美子(みやお・とみこ)著 | 講談社文庫 /講談社 |
天璋院篤姫を読んだ流れから読んでみました。
かなりの厚さの作品ですがそんなに読むのに時間がかからないと思っていましたが、予想以上に時間がかかってしまいました。
理由は、古文の訳文みたいな文章が続く作品だったからです。
コレには非常に面食らいました。
まさか、今時、そういう作品はないだろうと思ってたから。
さらに驚いた事にこの作品、天璋院篤姫より後の作品なんですよねえ。
現代文で書いた作品の後に古文調の作品を書く作家を初めて見ました。
内容的には、時代に翻弄された女性が悩み苦しむシーンが非常に多いですね。
篤姫もそうでしたが、老年は最後の方に少しくらいで。
そして、かなり汚い部分(帝の他の側室が懐妊するだのとか堕胎させるとか。)も敢えて描いた部分も評価したいですね。
50/100点
文学的な意味からすると、もっと高得点を付けるべきなのでしょうが、
実際自分が読んだ時、ワクワク出来たかどうかを重視してこの点数にしました。
古文調の文章が僕的には読みづらくてマイナスだったかなあ。
全10巻 | \620〜680(税別) | |
コミックス | 森薫(もり・かおる)・作画 | ビームコミックス /エンターブレイン |
今流行の萌え要素満載のメイド漫画だと思われる方がいらっしゃるかもしれません。
作者も「やりたい事、好きな事をやってみました」なんて、あとがきマンガで描いていますが、単純にそうじゃないんですよね。
時代考証とかもキチンと固めて、さらに手を抜かず描き込んだ背景などの絵柄も入れて、
そこまで考えてキャラに萌える行動させてるんで違和感がない。
アニメで第一期、第二期と分けて放送されています。
マンガだと2巻までとそれ以降ですね。
全10巻という冊数を考えるとバランスが悪いようですが、僕はこの分け方は非常に正しいと考えています。
2巻はエマの雇い主のケリーさんが亡くなるまでですが、それまでとそれ以降でこの作品は全然違います。
僕、ケリーさんって好きですねえ。
彼女、過去の回想でエマを雇う時に、「エマを使う事で教育の力を見てみたい」といった発言をしますが、その言葉こそがこの作品のテーマだと思います。
そしてケリーさん自身の人生の存在意義でもあるかと。
ジョーンズ坊ちゃんと恋仲になった事を家族に坊ちゃんが告白した時、
ヴィヴィアンが「顔で兄さんをたらしこんだ!」と蔑みますが、そうでない事は読者である僕たちが知っているわけです。
他には「真夏の夜の夢」の一節を、
新しい主人のドロテア奥様が口ずさんだ時にエマが言い当てたシーンで「あなたはホントにメイドなのかしらね」と言うシーンも好き。
7巻で本編は終了して8巻から10巻まで3冊外伝が続きます。
僕は最初、キレイに終わった本編を無駄に引っ張る感じがして外伝は好きではなかったのですが、最後まで読んで、これらのお話も描かれてヨカッタと感じました。
最後がエマと坊ちゃんの結婚式というのもヨカッタ。
あと、何の取り柄もないターシャが同室のよしみでエマと友達というのも、何となくチョットした運命が縁づけたという部分も好きです。
最後に評価すべき点として、連載開始当初から最後まであまり絵柄に変化がない事です。
イヤ、結構多いんですよ、連載当初と中盤くらいから絵が全然違う作品って。
かのスラムダンクの井上雄彦先生が「自分が未熟者だ」と、トップランナーという番組で言っていた理由なんですから。
ともあれ、一度最初から最後まで通して読んでみる事をオススメしたいです。
19世紀末から20世紀初頭頃のイギリス社会の縮図を見られると思います。
85/100点
この作品もARIAと同じく100点とかを付けてもいいかと思ったんですが、
若干女性キャラの描き分けがヘタクソだったりするんですよね。
ヴィヴィアンとエレノアがどことな〜く似てたりとかね。
それで少し減点しました(苦笑)。
あと、話に派手さがあまりないため、好みが別れる作品かもしれません。
全4巻 | 各巻\580(税別) | |
小説(文庫) | 田口仙年堂(たぐち・せんねんどう)・著 日向悠二(ひむかい・ゆうじ)・挿絵 |
ファミ通文庫 /エンターブレイン |
ガーゴイル本編が連続放送のテレビ放送だとしたら、
おるたは劇場でやる映画みたいな2時間にグッと凝縮した作品だったと思います。
どちらかというと、常識を守るガーゴイルと比較して、ハチャメチャなガー助とひかるのコンビは対照的だったと思います。
まあ、全てにおいて本編と対照的なのが、おるたです。
悪人でもどこか憎めないいい人だったり、そこが田口仙年堂という作家の味と言えば味なんですが、
この作品は、もっと勧善懲悪に徹して欲しかったと思います。
ガーゴイルがすでに完結していて、14巻まで読み進めましたが、最終的な決着は本編で付けるつもりだから、
この作品で全体的な完結はしていません。
だから、本編とセットで読んでこそ、意味を持つ作品だと思います。
70 /100点
やはりガーゴイルという作品の外伝的な位置づけなので、
本編を読まないと、あまり面白く感じないように思います。
この作品のラストも本編に繋がってる部分がありますから。
全15巻 | \560〜640(税別) | |
小説(文庫) | 田口仙年堂(たぐち・せんねんどう)・著 日向悠二(ひむかい・ゆうじ)・挿絵 |
ファミ通文庫 /エンターブレイン |
というわけで、ガーゴイルも終わってしまいました。
途中、中だるみも感じましたが、キレイに終わってヨカッタと思います。
話としては悪くないけど、1冊丸々キャラ紹介だけに終わってしまった巻もありましたから。
話そのものとしては、ドタバタがあって最後にどこかしんみりするという田口先生の作風は、基本的にそんな感じで進んでいきます。
最後の14〜15巻は、一つの話で表紙も繋げれば大きな一枚の絵になるなど考えてあったのもいいですね。
まあ、ライトノベルで時間を進ませずにスッと終わらせず延々と続かせる手もあったと思いますが、
僕はある程度で終わってヨカッタと思います。
というのは、ライトノベルで短編連作の電撃文庫の作品である「キノの旅」や「死神のバラッド。」は
いつまで経っても終わらないので、僕の方が飽きてしまい購読を中止した事があります。
厳密には違うけど、ワンパターンの話が延々と続くと、好きでもさすがに飽きます。
完結してから、積み本状態から脱出して空き時間を使って一気に読み終えたのですが、13巻辺りから「終わる」と感じさせますね。
中だるみした原因として、ファミ通文庫は異常に新刊を出すペースが速すぎるのがあるかもしれません。
ガーゴイルでは、話作りに集中できず、まとまりや盛り上がりが今一つに感じた巻も残念ながらあります。
あと、外伝である『ガーゴイルおるたなてぃぶ』がクロスオーバーしている事があって
この巻が終了してから、一気にガーゴイルが進展して終わったのもありますかね。
『おるた』終了によって本編終了のスイッチが入ったみたいな。
そして、先に感想を書いた『おるた』もそれ単品しか読んでなければ
話の理解も分かりづらいだろうし、結構本編で関わるネタも仕込んであります。
『おるた』を読んでこの本編を読み終えれば、『おるた』の話も完結すると思います。
その意味では、難しい作業を完遂された田口先生に「ホントにご苦労様でした」と言葉を贈りたいです。
絵師の日向先生にあとがきで面白おかしく書かれてますが、相当なストレスで太ったと思いますよ。
ホントにご苦労さまでした。
ラストは、また新しい話として続けられそうですが、
ライトノベルというジャンルで基本的にはハッピーエンドだと考えれば、普通に納得いく終わり方だったと思います。
僕はライトノベルはジャケ買いが多いのですが、
この作品は巻末に出ているあらすじ紹介や少し立ち読みしてから1巻を購入したんですよね。
その意味で、思い入れも深いし、自分の眼力はある程度信頼できると自信にもなりました。
楽しい時間をアリガトウござました。
75/100点
おるたも読んでいればプラス5〜10点はあると思います。
やや辛めな点数を付けましたが、やっぱりラストへの伏線だとは勿論分かっているんですが
キャラ紹介に文庫小説一冊も使うのはどうかなあと思いまして。