喘 息 の 話
喘息をなくそうとしたら、喘息とはどんな病気か正しく知ることが大切です。
喘息とはどんな病気でしょう?
喘息とは一時的に気管支が収縮して細くなり、このために呼吸が苦しくなる病気です。 |
ではなぜこうなるのでしょう?
鼻から吸われた空気は、のど→気管→気管支を通って肺の中に入ります。 気管支は“空気の通り道”というわけです。 喘息の人ではこの気管支に『慢性炎症』があるために気管支が過敏な状態になっています。 それで普通の人では何でもない少しの変化(例えば、昼と夜の差)や、刺激(家のホコリや冷たい空気の吸入、走るなどの運動、風邪をひくなど)に過敏に反応して気管支が収縮し細くなってしまうのです。 また、過敏になった気管支は少しの刺激で容易に咳がでたり、気管支の粘膜からの分泌物がふえて痰がからむという事がおこってくるのです。 分泌物が多くて細くなった気管支を努力して空気が出入りしているときにあの「ヒューヒュー、ぜいぜい」という音がするのです。気管支が十分広がっていて安らかな寝息をたてて眠っているのとは正反対です。 気管支が『慢性炎症』によって過敏になっていること。 これが喘息発作の原因です。ですからこれを取り除けばよいわけです。 風邪をひいたときや、きつい運動をしたときに「ヒューヒュー、ぜいぜい」いうので風邪や、きつい運動が喘息発作の原因と思っている人がいます。しかしそれは間違いです。 風邪をひいても、激しい運動をしても誰もが喘息発作をおこすわけではありません。 くどいようですが繰り返しますと、気管支に『慢性炎症』があって、そのせいで気管支が過敏になっている人に、何らかの刺激が加わって過剰な反応がおこり、気管支が細くなり、分泌物がふえ(痰がからむ)、咳が出て止まらないというのが喘息発作の正体なのです。 |
◎では正しい治療法とはどんな方法でしょう?
気管支の『慢性炎症』を静め、できればこれをなくして、気管支の過敏さを取り除くことです。 それにつれて気管支は少しずつ安定していきます。だから少しくらいの刺激や変化が加わったくらいでは喘息発作がおこらなくなります。 『慢性炎症』がなくなるまでの期間は患者さんごとにいろいろです。 一口に喘息といっても重症、軽症いろいろあるからです。 現在この方法が一番新しく、正しい理にかなった治療法と認められています。 長期間続けても副作用はほとんどありません。 だから喘息の妊婦さんでも、妊娠初期から授乳中も使用しています。 |
今までの治療法はどんなものだったのでしょう?
喘息発作のときには主として「気管支拡張剤」という薬を吸入や内服や点滴などの形で使用していました。 |
吸入ステロイド療法で喘息発作が起こらなくなっても吸入ステロイドをやめてはいけない理由をもう一度、お話します。
ステロイド吸入療法を続けると遅かれ早かれ誰でも喘息発作は起こらなくなります。 |
◎今までアレルギー性疾患(アレルギー性鼻炎・花粉症・アトピー性皮膚炎・喘息)のお話をしてきました。(専門的で分かりにくかったかもしれません) 例えば成人喘息の約50%はどれだけ調べても抗原が見つかりません。それでも喘息はおこるのです。 好酸球増多性鼻炎というアレルギー性鼻炎の1タイプでは、やはり何ら抗原が見あたらず、従って、それらに対する特異抗体も認められません。 こうした事は、これらの真の原因がアレルギー体質ではなく、鼻や気管支の粘膜の異常にある事を示しています。 アトピー性皮膚炎の場合は表皮の異常(カサカサ肌)という事になります。そしてアレルギーは、その異常を更に増強し、症状を出させる契機の1つと考えられます。 アレルギー(異物に対する過剰反応。アトピーはその1種です)と3つの疾患との関係。 中心とする考え方、治療法を図示してみました。 |