アトピー性皮膚炎の話



原因

アトピー性皮膚炎の原因は家ダニ抗原・カビ抗原・ペット抗原に対するアレルギーだといわれています。

実際、アトピー性皮膚炎の患児を調べると上記のものに対する特異抗体が
100%証明されます。
しかし、これら特異抗体を持っているのに一向にアトピー性皮膚炎にならない人が非常に多数います。

アトピー性皮膚炎の患児の特徴は、ハウスダスト・家ダニ・カビ類・ペット(イヌ・ネコ・ハムスター等)に対する抗体をもっていることと、
もう一つ、
それより重要かつ本質的な特徴があります。

それはアトピー性皮膚炎の子供の表皮(皮膚の一番表面の部分)は、
皮脂が足りなくていつも乾燥した、いわゆるガサガサ肌で、肌自身が弱く荒れやすい事です。
このような皮脂の足りない
「カサカサ乾燥肌」では、抗原刺激(HD、家ダニ、カビ類、ペット類)がたやすく侵入し、侵入した抗原と、その子が持っている抗体とが反応し(抗原抗体反応)、皮膚の深いところで激しい炎症がおきます。

そのせいで発疹、かゆみが発生するのです。かゆさは大変なもので、かきむしり、表皮は一層荒れ、汁が出て、そこでは細菌が繁殖し、これらによって一層皮膚は弱くなります(悪循環)。 

慢性的なかゆみは、心にも影響し、慢性的な不安を持つようになります。
一番良い治療法は何でしょう。


表皮を正常児の肌のように変えれたら、アトピー性皮膚炎は治ります。
しかし、「カサカサ乾燥肌」は遺伝的に規定されているらしく、この改善は困難です。



一番良い治療法

一挙に改善することは無理ですが、正しい肌の手入れを続けること、アトピー性皮膚炎は十分にコントロール可能です。

十分に
コントロールし続けているうちに、加齢と共に大部分のケースでは治ります。

治療のポイント
は、医学的・合理的なお肌の手入れを毎日続けることでしょう。



正しい治療のために



「ガサガサ乾燥肌」の原因は表皮(皮膚の一番表面の部分)の皮膚の異常ということは既に述べました。そこで

@
 表皮に皮脂成分(セラミド、リン酸ポリマー)を十分補充してやること
  (→表皮の保水能が高まり、ガサガサ肌が良くなる)


A アトピー性皮膚炎の増悪因子である
「表層細菌繁殖」を防ぐと、
  
(殺菌剤は一般に皮膚にも大きな刺激を与えます→不適切)。
  しかし、ヒノキからとったオイルであるヒノキチオールは天然成分で
  十分な抗菌力があり、しかも刺激性が少ないのでアトピー性皮膚炎に
  うってつけです。

B
 余計な、皮膚刺激物の入った製剤を使用しない。
  無着色・無香料・ノンアルコール、厚生省の表示指定義務のあるような
  成分を一切含まないこと。



アシュケア用品

@ABを満たした治療補助薬として、当院ではアシュケア製品を採用しています。

アシュケア製品
(ボディリキッドソープ・ローション・クリーム・ヘアシャンプー・ヘアコンディショナー)

これを
ベースに使用して、それでもでてくる発疹には早めにテロイド軟膏で炎症をしずめ、皮膚状態を可能な限りよい状態で維持します。
これが当院のアトピー性皮膚炎のコントロールで決して一括治療ではありません。これを根気よくつづけるわけです。
この間、いろいろな疑問が患者さん側にでてくると思います。
それを一つ一つDrと相談して医学的アドバイスで解決し、可能な限りよい皮膚を保っているうちに、年令と共に必ずアトピー性皮膚炎も治ると考えています。