クリスマスイルミネーションの製作 Since 2005


クリスマスの時期になると、商店街や住宅地で、イルミネーションをよく見かけるようになってきた。
我が家では、くちこみ情報をたよりにして、夜車に乗り込んでイルミネーションを見学しに行ったりする。
大人でも子供でも、見ていてキレイで、なんとなく安らぎを得られるいいものだと思う。
今年は我が家でも飾ってみることにした。
買ってきたものを、ただ飾るだけではオリジナル性が無いので、材料を買って全て手作りしてみた。
飾り付ける木が2本あって、その木にどれくらいの数のLEDを付ければそれらしくなるのかをWebで色々調べてみたら、
1本の木に100個程度付ければ、まぁまぁ様になるらしいことがわかった。
今回は、青と緑の2色の高輝度LEDを、DC24VのACアダプタを使って点灯させる計画だ。LEDの電圧降下を計算したら、
6個直列にして1KΩの制限抵抗を付けると、点灯させるのにちょうどよい6mAの電流が流れる。
6個のLEDを1回路として32回路作ることにした。これで、合計192個になり2本の木に飾れる。
点灯制御には、PICマイコン(PIC16F648A)を使った。
このマイコンは18ピンで、出力端子の制限から、1個のマイコンで11回路を制御する基板を3枚製作した。
3枚のマイコンの中には、点灯パターンのプログラムを組み込んだが、それだけでは物足りないので、それぞれのマイコンに
異なったアドレスを割付て、シリアルポートをパソコンに接続することで、パソコンから自由に明るさを制御できるようにした。
このマイコンの開発ツールは、マイクロチップのMPLABと、HITECHから無償でダウンロードできるCコンパイラを使った。
このコンパイラは、PIC16F648Aをサポートしていないが、メモリー容量だけが異なるPIC16F627Aをサポートしているので、
コンパイラのデバイス設定は627Aとし、書き込む段階で648Aを選択して書き込む。
書き込みツールは、秋月のPICプログラマーを購入し、同時に安く買える648Aを購入した。
パソコンのプログラム開発は、シリアルポートを制御できれば何でも良いので、使い慣れているC++Builderを使った。
●LEDの取り付け
あらかじめ、0.3スケのビニール線を30cm程度の長さにカット
しておく。
LEDの足に半田付けしたところが、短絡しないように、足の長
さを変えてカットする。
カットした先端に、ビニール線を半田付けしていく。
LEDの足がくっついてもショートしないように、ビニール線の被
服を、LEDの長い方の足に通しておくと、特に絶縁材料などを
買わなくて済む。
●1回路分
6個のLEDを直列につないで、1回路完成。
この後、チューブを収縮させ、LEDの根元にクリアボンドを流し込み、
気休めではあるが、防水のような加工を施した。
●制御基板との接続
庭先に引くための線の長さをあらかじめ計っておき、各
回路に接続していく。
右端が制御基板、黒いのがACアダプタ

●LEDの光を拡散する
光を拡散した方が、飾りつけた時の光のバランスが良い。
一般的なレンズのLEDを買ったので、何も加工しないと照射角度が
狭く、飾った時のLEDの向きで、明るさに差がある感じがする。
LEDの表面をサンドペーパでこすり、光が拡散するように加工した。
この加工が、思ったよりも時間がかかるわ、細かい粉は出るわで、
結構大変だった。
●光の拡散状態
右が加工前、左が加工後、光が拡散されてやわらかさが出た
ように感じる。
●制御基板
全て秋月電子で購入できる部品を使った。
5V用のレギュレターICは、1枚目の基板のみに実装し、他の2枚
の基板にはワイヤーで分配する。
パソコンと通信するための、シリアルインターフェイスには、通常
RS232CのレベルコンバータICを使用するが、今回受信のみで、
しかもホビー仕様なのでレベルコンバータは使わず、マーク信号
をトランジスタのベースバイアス電流にして、コレクタから信号を
取り出し受信する回路にした。
この信号も、3枚の基板にワイヤーで分配する。
通信スピードを19.2Kbpsで設計し、レゾネータには、タイマーなど
時間計算に都合の良い16MHzを選定した。
各LED回路は、マイコンからPWM制御され、16段階で調光できる。
ホビー仕様なので保護回路などは無視でOK。
(図面をクリックで拡大)
●制御回路設置
おかずを入れる樹脂の入れ物に、3枚の基板と、ACアダプタを
入れて、大きな隙間はテープで塞いだ。
多少上から水がかかっても大丈夫なように、電線は下から引き
出した。
冬は暖かいと思うので、電線の隙間から虫が迷い込んでくるかも。
この対策はしていない。
シリアル通信回路には、シールド無しでツイストした電線を10m
程引いているが、特に問題は無いようだ。
●PICプログラマ
PICにプログラムを書き込むツールも、秋月電子で購入できる。
●パソコン側のテスト用プログラム
トラックバーを11回路×3枚分置いて、マニュアルで調光できるテスト
プログラムを作った。
このプログラムを使って、LED回路製作時の点灯確認や、調光のセ
ッティングができる。
●電飾用プログラム
シリアルポートを通して、一定時間間隔でマイコンに輝度データを転送し
続けることで、ひとつの点灯パターンができあがります。
出来上がった12種類の点灯パターンを自動的に切り替えます。
途中でマイコン内部に持っている8種類のパターンでも点灯させ
る仕組みになっているので、20パターンの点灯バリエーションを、ONから
OFFに設定した時間の繰り返すようにしました。

2022年現在

●17年間も使い続けると
接着材での簡易防食が功を奏し長持ちしている。
LEDの樹脂とリードフレームの間で錆がかなり出ており10個ほど新しいLEDに交換した。
マイコンのフラッシュプログラムも蒸発すること無くノートラブルで動いている。
現在は、パソコンをラズパイ3に置き換え夕暮れ時間を自動計算しLEDの各ラインの点灯をひとつのスレッドで制御するマルチスレッド方式の一風変わった点灯となっている。