2010年課題研究作品
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生徒の課題研究でこれまでLEDを用いたいろいろな表示器を製作してきましたが、今回は2001年に製作したシーケンサ&60W電球のストラックアウトをPICとLEDを使って、薄型・軽量化することに挑戦しました。 |
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1.新型のスイッチの製作
前回のストラックアウトでもっとも苦労したのが、ボールの命中を検出するセンサーであるスイッチの部分でした。マイクロスイッチのa接点を使用したところ、ボールの衝撃によって壊れるものが続出しました。そこで、直接接点に力がかからないようにb接点を利用したスイッチを製作しました。
しかし、マイクロスイッチはこれでもやはり壊れることがあり、毎年文化祭などで悩みの種となっていました。
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前回製作したb接点利用のスイッチ |
今回は、発想を変えてみました。
「小型のタクトスイッチは、キースイッチ等に用いられているが、案外衝撃(キータッチ圧)に強いらしい」という話を聞いたので、早速、旧ストラックアウトに装着して文化祭で試して見ることに…
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市販の小型タクトスイッチ |
スイッチ基板 |
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旧ストラックアウトに装着 |
拡大部分 |
結果は大変良好でした。
文化祭中、壊れるものなし。
「小型だから弱い」という概念が消えました。
これによって、今回のLEDストラックアウトのスイッチの採用が決定しました。
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2.LEDセグメントの製作
数字パネルは以前に作成した時計などで使用した7セグメント方式を採用。すなわち複数のLEDを一列に並べ直列に接続して、1セグメントとし、それらを組み合わせて数字をつくることにしました。もちろん今回は数字をいろいろと変える必要がないので、その数字に必要なセグメントのみを製作。
今回は、黄色と緑のLEDを別々に直列にして2回路として2色表示のセグメントを製作。
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LED取付用の穴開け |
黄色と緑のツインセグメント |
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3.表示板パネルの製作
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表示板バネルの基台には、毎回おなじみとなった同級生が経営する看板屋さんでもらってきたボードを使用。
このボードはプラスチック板を両面からアルミ板でサンドしてあるため、、静電気によるトラブルが全くない。加工性もよく、アクリル板のように穴開けで割れてしまうこともない。
各数字に応じたセグメント基板とパネルの四辺に4つのスイッチ基板を基台に取り付け、配線を整理してパネル基台の裏側に貼り付けたベーク板にハンダ付けしていく。
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発泡ウレタンを数字の型に切り抜く
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LEDセグメントを数字の型に取り付け |
LEDセグメントを数字の型に取り付け |
配線をハンダ付け |
全体の組立 |
セグメント基板とスイッチ基板を取り付けた基台の上にクッション材を兼ねてセグメント型に切り抜いた発泡ウレタンを置き、その上に光散乱用のスモーク調の樹脂板を置き、最後に透明アクリル板を置いて組み立てた。
衝撃を吸収できるようにアクリル板は厚みの方向には可動式になっている。
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完成した表示パネル・表 |
完成した表示パネル・裏 |
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表示パネル側面 |
スイッチ部 |
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4.制御回路 |
制御回路はPIC16F877を使用して製作。
入力部は3×4のマトリックス入力とし、出力部はスタテック出力とした。
ビンゴした時に音を出すためのメロディIC回路とアンプ、スピーカー、ビンゴ数を表示する7セグメント表示器をつけた。 |
制御回路と、ビンゴ計数表示器とスピーカー |
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制御回路上がPIC回路、下がメロディIC、アンプ、電源回路 |
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5.アルミフレームへの取り付け、パイプフレームへの取り付け |
270mm角の表示パネルを900mmのアルミアングルを、9分割した1辺300mm角のフレーム枠に取り付けた。
パネルに鬼目ナットを打ち込み、アルミ側からビス止めした。
さらに、パイプフレームを作ってそれに取り付けて完成した。
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アルミフレームへのパネルの取付 |
アルミフレームの穴開け |
パイプフレームの組み立て |
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完成したLEDストラックアウト |
LEDストラックアウト背面 |
旧ストラックアウトと比べると
大幅な薄型化、軽量化に成功 |
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ストラックアウト動作の動画
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ここ数年、LED を使った実用的な表示板などを製作してきたが、今年は以前に製作したストラックアウトをLED を使って薄型、軽量に改良してみた。今回も時間の都合で生徒諸君には制御回路のしくみやPIC
のプログラムをやってもらうことができなかったが、それでも「ものづくり」をすることの大変さやおもしろさ、完成したときの達成感は十分に味わってもらえたと思う。
今回は、全体でスイッチ基板は新旧用合わせて60個、LED セグメントは43個と数多く製作したため、単調な作業が多かったのだが、生徒諸君の努力のかいあって形のよい完成品となりよかったと思う。
最終授業の時には点灯しないセグメントが1、2個あったため、生徒諸君も感想文にそのように書いているのだが、その後再チェックしてみるとハンダ付け不良が見つかりこれを改善することにより、最終的には全てのLED
が点灯したことを付け加えておく。最後に、今回もアルミフレームの溶接でご協力いただいた機械研究部の諸君にお礼を申し上げます。
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